サイレント メビウス テイルズ 2
はたして、扉をしめたことが、本当に正しかったのかどうかは、わからないんですね。
もしかすると、可能性を狭めてしまっただけなのかもしれない。
えーと、あと、わたしのなかでは、ロイも死んじゃっているんですが……。
全2巻の本なのに、1巻と2巻の読む間が開きすぎです。
恋愛ものです。
そして、見事なほど全部、異類婚のお話です。5話全部。
このあたりの感性が、わたしを惹きつけるんだろうなぁと思います。
まあ、もっといろいろな恋人達の作品はあるんだから、わたしと感性があったのは、安房直子さんではなくて、編者の人かも(笑)
それでは、1話ずつの感想です。
鹿と少女のお話です。
少女の父親は、猟師で鹿撃ちの名人です。
でも、鹿がこの家の人にもっているのは、不思議と恨みとかそういうのではないんです。ただ、おぼえていてほしい。そんなことを思っているという。
なんだろう。怖さも、とこかにちょっとあるのですが、それ以上に、自然の持つ懐の深さみたいなものを感じさせられます。
若者と熊の娘さんの話。
動物の方が女の子の話もありますが、熊というのはけっこう珍しいかも。
これは、もう戻れないという感じの強いお話で、ちょっと「きつねの窓」を思い出しました。
孤独の陰に、ファンタジーがあります。
若者と鹿の娘さん。
この鹿の娘さんが、絵が上手だという。
椅子にこしかけている牝鹿ってどんなんだ?どんどん、擬人化が進んでいるようでいて、でも、鹿の形をしているようで…。
だって、人間にならないといけないんですからねぇ。
「鹿のまんまで、よかったんだよ。」
と、この言葉にたどり着くためのお話だったんだと思います。
これはなんだか、遠野の昔話を思わせるような話です。
鳥にさらわれて、逃げ帰った娘。
でも、鳥の優しさもしっていて、自分から戻っていく。
まわりから見れば、魔物にかどわかされたように見えますが、本当の幸福は、自分自身にしか見えません。
かわいい話です。
以下、ネタばれありです。
ジョージ・R・R・マーティンというと、ゲームでもファンタジー小説でもけっこう有名な「七王国の玉座」の人です。
まだゲームの「七王国の玉座」もやったこともなく、小説「七王国の玉座」も読んだことがないのですが、わたし、この人、知ってます。
創元推理文庫のSFシリーズからでていた「ワイルド・カード」シリーズのまとめ役の人ですね。
「ワイルド・カード」を読んでいた頃は、ちょうど、「X-MEN」とかアメコミにはまっている頃((実は、今も読みたいと思っているのですが、小学館プロダクションがアメコミから手を引いてからは、物理的に無理なんですよねぇ…。JIVE高いし、売ってないし…))でして、この小説で読めるアメコミが、わたしは、めっちゃ好きだったのです。
まあ、「ワイルド・カード」は、シェアワールドもので、いろんな人が書いていて、人によってできも違って、ジョージ・R・R・マーティンは、なん、盛り上がる話よりも、まとめのような話ばっかり書いていたと記憶していますが…。
さて、今回の「タフの方舟」です。
第1話は、どうやって、タフが方舟を手を手に入れたのかというお話でした。
これを読んだときは、イマイチでした。
なーんか、悪いヤツばっかりで、いやなかんじのお話なんですよ。
それから、短編連作っていう感じなんですが、1話1話、章わけが何にもないんですね。わたしは、割と小刻みに切って本を読んでいく人なので、キリのいいところがない小説というのは、けっこう読みにくい…。
うーん、30ページぐらいで1区切りあるのが読みやすいんですよ。
なんとなく、先も読めてるし……。
プロローグから、もっと、ホラーっぽい話を期待していたら、なんと、アクション映画だったという感じです……。
タフの性格も、なんかつかみ所がない。
と思って、2話目の「パンと魚」に進んだのですが、これは、メッチャ面白かったです。
トリー・ミューンという姉御が、かっこいいんだ。これが。
人口爆発を起こしている惑星。そこに、タフが行って、初仕事というお話です。
どうも、あとがきを読むと、この惑星のお話が、メイン・ストリームで、1話とかは、あとから付け足しの話のようです。
うーむ。こうやって、シリーズが書かれた順じゃなくて、時代順に並べられることって、よくあるんだけど、あんまりこれが成功しているとはいえないなぁ。
成功してない例で悪いけど、
「風の大陸」
「エルリック・サーガ」
「ポーの一族」
なんかも、やっぱり、書かれた順で読んだ方がおもしろいと思うのです。
「あのキャラクターの過去」とか、「あのキャラクターたちの出合い」だから、面白い話も、いきなりしらんキャラがでてきても、楽しめないのです。
その点、レンズマンは、偉いなぁ。今までさりげなく(あれは全然さり気なくないか?)触れられていた過去が、詳しく語られていくというのは、楽しいです。
なんか、関係ない話になってきたな(笑)
えーと、タフは、ネコを飼っていて、そのネコたちが、けっこう無味乾燥なタフに彩りをあたえてくれていると思います。
それから、タフは、なんか、悪辣で、無礼な人間みたいに書かれているのですが、実は、まあ、自分の良心に乗っ取って行動しているということで、けっこういい人のようです。
ただし、いい人が、いつも正しい選択ができるとは限らないです…。
特に、タフみたいに、メチャクチャな力を持ってしまっている場合は…。
そのへんの議論は、「パンと魚」のなかで、トリー・ミューンとタフがやっています。
まあ、今のところ、タフは、失敗なしなのかなぁ。このあたりは、まあ、疑問が残るところではありますが。
素人だしね。メチャクチャな力が、思いもかけない悲劇を引き起こすことも、やっぱりあると思うんですよ。
でも、そういうことをひっくるめて、それほどあまくわないけど、けっこう作者は、人間を信じているところがあるなぁと思います。
ただし、これって、たくさんの人口を養えるようになったけど、本質的に、解決になってないんですよねぇ。
まだ、続きがあるようなので、どうなるのか楽しみです。
あと、トリー・ミューンが、どうなるかも、気になっています。
はじめは、ネコを嫌っていた彼女が、虜になっていくところも、けっこうネコ好きには読ませるところです。
ネコ好きに、悪い人はいないと思います。
子どもたちにも大人気の「デルトラ・クエスト」に手を出しました。
評価は、微妙。うーん、最近読んでいた児童文学が、けっこうレベル高いのが多かっただけになぁ。
お話自体は、スルスルと流れていきます。ストーリーも、すごく説明しやすい。
だから、もしかすると、このままずっと読み続けられちゃうかもしれません。
ただ、すごく薄味です。ストーリーも薄味なら、キャラクターも薄味。
テレビゲームしている子は、この本を読むかもしれないけれど、今読んでるおもしろい本をやめてまで、この本は読まないだろうなぁという感じです。
まあ、イラストの力が大きいか。
ファンタジー好きな子どもが、想像力を駆使して書いたよくできた物語。よくできているんだけど、あくまで、子どもが書いたみたいな感じです。
さて、これから、1巻につき、1つずつ宝石が見つかっていくようです。
いつまで、読めるかな??