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ジュリエットの卵1

えーと、「いたいけな瞳」を読んで、感想に

「もしかすると、この人は短編の方が繊細かも。」

なんて書いたのですが、実は、長編を読んだ記憶というか、どんな作品があったのか、あんまり覚えていない……。

ということで、本棚から、「ジュリエットの卵」を出して読んでみる。

すごいフワフワした作風ですが、実は、けっこう悪意にみちているかも……いや、この言い方は、間違っているなぁ。出てくる人は、けっこういい人たちだと思います。

でも、それを外側から見る作者の目って、すごく厳しいような気がする。厳しいというか、突き放している?
ちょっと、これも違う気がするが……。

えーと、例えば、わたしは、苫子さんとか好きです。

「あなたキレイだもの。おなたのお兄さんもキレイだもの。それだけで充分、私には毒なのよ…」

そんな風に、恋敵に素直に言えてしまう人というのは、なかなか、すごいと思います。

あと、生きるためには、誰かに依存するだけではなくて、自分に依存してくれるだれかが必要なこととか、けっこうシビアなことをかいてます。

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いたいけな瞳2

アインシュタインが、子どもに核を渡す話があって、これって、今の時代の方が、より切実な現実になっているよなぁと思う。

1番印象に残っているのは、「橡」。
でも、今回、改めて読んで、はじめて、空が通学の電車の中で自分の相手を見つけていたことを発見しました。
これは、ストレートに、出会ってくっつくような話しかしらない子どもには、絶対わからんわ。

恋愛には、ふっと何かのきっかけがあって、わきあがってできる想いと、見つめているうちに気づく想いがあって、そのかきわけや、境目をかくのが、吉野朔実はとてもうまい。

もしかすると、この人は短編の方が繊細かも。

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いたいけな瞳1

以前、購入して読んでいて、まあ、印象が残っているわけですが……。
今、読んで見るとその時よりも、もっと理解できるなぁと思いました。

短編集なのですが、最初の「ラブレター」なんかは、とてもよくわかる。それに、熊のぬいぐりみ10万円も、おもちゃのことに興味を持ち始めて、はじめて理解できる部分もあります。

「いやあ、ああいうことって、よくあるよねぇ」

と話したくなる子の顔が浮かぶ。

きっとその子は、この本をそれなりに気に入るだろうということで、貸してあげよう(無理やり)と思って、それなら、カラーの入った文庫じゃない大判のマンガの方がいいだろうと、今、実家の本棚を探して見ましたが、見当たりませんでした。

……手放してる??

うん。この本の価値が、その頃は、わかってなかったんだなぁと、改めて実感。