パズル・パレス 下
ラングトンじゃないダン・ブラウン。完結編。
「日本人にとって、素数は、とても大切な数なんだ!!」
本当ですか?
まぁ、江戸時代とか、数学が流行したときがあるので、そういうのとのからみなのかも。
しかし、エンシェロンもまだなかった時代に、これを書いたっていうのは、すごいねぇ。
このもっともらしい嘘をつくっていく力は、ものすごいものがある。
そして、嘘がときに、現実を捉えてたりするのかもと思わせる何かがあります。
数学史とか、科学史っていうのは、単純におもしろいので、早い段階で興味のために教えるべきだと思っています。
それのことを人生を賭けるぐらいおもしろいと感じた人がいるということを知ることは、けっこう、子どもの興味を刺激するのではないでしょうか?
まぁ、数学史や科学史が授業に入ってきたら、その評価はどうするのか・、人物の名前を覚えてテストするのか?てな話も入ってきそうですが、でも、評価いらないと思うのです。
評価されないおもしろい話がいっぱいあって、それがフックになって、実際の数学や理科にも興味を持つというのは、アリなんではないかと思うのです。
そうすると、まぁ、実用の世界からは、「役に立たない」とかいわれて、勉強するだけ損とかいわれるのかなぁ。
うーん、勉強しなくてもいいから、講談を聞くみたいな感じで楽しめるといいなぁと思うのです。
そして、実際に、数学や科学で、そのことに触れたときに、発見した人の名前が出てこなくてもいいので、
「これこれ。これって、誰だったかが自殺しようと思っていたのに、解けそうになって自殺思いとどまった問題だよなぁ」
とか、そんな風につながると、
「ちょっと、挑戦してみるか」
とか、
「ちょっとおもしろそう」
と感じるようになるんではないかと思うのです。
これは、多分、競馬をしていて、馬の物語に興味をもったりするのと似ているかもしれない。知識があると、より楽しめる。物語が加わると感動すらできるかもしれない。
今ある、乾燥したデータだけでも、充分におもしろいんだけれども、その裏のドラマを知るとより楽しめる。そんな気がするのです。
それで、今回、この本を読んで、化学っていうのは、けっこう発見の歴史に沿って教えられているんだなあと感じました。
これを教えられる先生っていうのを養成していくのは、これからを考えるとけっこう大切なんではないでしょうか?
全国学力調査のテスト対策をしているよりは……。
冲方 丁は、今まで読んだことがなかったですが、ライトノベルのイメージがあったので、もっとSFよりのお話を想像していました。
「暦をつくる」といえば、陰陽師。ということで、「帝都物語」的なお話を期待して読み出しました。
期待とは全然違って、まったくSFではなかったですが、楽しく読めました。
勉強がおもしろいことに気づかしてくれる1冊ですね。これと「哲学的な何か、あと数学とか」は、学生時代に読んでおきたい物語だと思います。
青春ものであり、少年マンガ的であり、それでいて、歴史物としてリアルで楽しい。
なにより、主人公だけでなくて、出てくる人がいい味を出していて素敵です。
すばらしい。
なかなか、ドキドキ、ハラハラしながら読めました。素敵なジュブナイルだ。
どんでん返しについては、まぁ、予想通りなんですが、母親が、恐れていることというのが、読んでいる間は、今一つつかめなかったんですね。
でも、最後まで読んで、納得した。自分も、
「いつか、自分も魔法を親に…」と思いながら、「いつか自分も娘の魔法を…」と思ったんだろうな。それはたしかに、ものすごい恐怖だ。
さて、救いの道は、あるのか?次が楽しみです。
「哲学的な何か、あと科学とか」は、知的好奇心をグイグイ刺激してくれました。
「哲学的な何か、あと数学とか」は、フェルマーの最終定理の物語を通じて、数学史のおもしろさを知りました。
で、この「史上最強の哲学入門」ですが、… 読みやすさは、前2作と同じぐらい。内容の興奮度は、ちょっと落ちるかな。
でも、ニーチェの「神は死んだ」の意味とか、超人思想とはどんなものかとかは、初めて知りました。
ダメダメ、ルソーの話は、ちょっと講義できいたことはあるけど、それほど詳しくしらなかったです。
でも、どの哲学も、けっこう今日的でおもしろい。こんなに身近なものだったんだという驚きがあります。
読み終わった感想は、「普通の哲学入門書じゃないか」でした。
でも、題名も確かに、「哲学入門」。これは、これで正しかったんだと思います。
そして、「普通」よりは、はるかにおもしろかったのは確かです。わたしの飲茶レベルが上がってしまっているので、不満みたいに感じていますが。
実に、おもしろいです。