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天地明察 上

冲方 丁は、今まで読んだことがなかったですが、ライトノベルのイメージがあったので、もっとSFよりのお話を想像していました。
「暦をつくる」といえば、陰陽師。ということで、「帝都物語」的なお話を期待して読み出しました。

期待とは全然違って、まったくSFではなかったですが、楽しく読めました。

勉強がおもしろいことに気づかしてくれる1冊ですね。これと「哲学的な何か、あと数学とか」は、学生時代に読んでおきたい物語だと思います。
青春ものであり、少年マンガ的であり、それでいて、歴史物としてリアルで楽しい。

なにより、主人公だけでなくて、出てくる人がいい味を出していて素敵です。

すばらしい。

角川書店,角川グループパブリッシング
発売日:2012-05-18

 

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源氏物語 千年の謎

映画化された「源氏物語」ですが、途中で、安倍 晴明とか出てきて、ファンタジーちょっと入ってます。
わたしの中の安倍 晴明と紫式部の関係といえば、谷 恒生の「紀・魍魎伝説」あたりに出てきたような気が……。たしか、あの紫式部は、子どもで、晴明にだっこされていたイメージが……。1

なんか、「ソフィーの世界」的に展開で、そこもビビリました。でも、けっこう面白かったです。

紫式部自身は、けっこう権力志向。
これは、「千年の黙」のときもちょっと感じたのだけれど、実は、男が書いた紫式部より、女の人が書いた紫式部の方が、権力志向が強い気がします
権力志向というよりも、価値のある(勝ち組の?)男に「認められたい」という思いかな。

男性が書くと、女性を理想化するので、あんまりその欲望のドロドロしたところがなくなるのかも。

しかし、夕顔の正体とかは、新解釈でビックリしたと言うよりも、笑ってしまいましたが……。 そ、それは、ないわぁ……。
まあ、安倍晴明が、道長のボディガードみたいな感じだったのは、確かみたいで、時代的にはあっているのかな?

 
髙山 由紀子
角川書店,角川グループパブリッシング
発売日:2011-06-23
 

 

  1. 今、本を調べようと思ったらなかった。角川文庫の続巻が出なかったので、処分してしまったようです。だから、もしかしたら違う話だったかも。 []

桜庭一樹,読書山崎 ナオコーラ,桜庭 一樹,角川文庫,角川書店,赤×ピンク

赤×ピンク

これ、凄い。特に1話目「”まゆ”14歳の死体」が。
読んだ時、ものすごくつきぬけた感じがした。
そして、こう思った。

これって、この子が新しい檻を見つけただけで、同じ事がくりかえされるだけなのではないかい?
この男、結局、今までまゆをがんじがらめにしてきた狂気と同じものを秘めているんではないか?

それで、山崎 ナオコーラの解説読んで、もう1回、衝撃を受けた。
女には、この物語が、こう見えているんだ!!

多分、わたしの今後の予想の方が、当たっていると思うんだけど、女たちにとっては、「そんなことどうでもいい!!」んだ!!
だただ、「友だちが先に大人になる」ということにショックをうけている。

多分これは、男と女の間にある溝なんだと思う。
男がいろんなもののことをスペックで語る時、女は、「そんなことは、どうでもいい」と思っている。そんな感じ。
実はそれは、男女差ではなくて、個体差なのかもしれないけれど……。

そして、この小説の沸点が、「まゆ」の物語のあのシーンにあるという、山崎 ナオコーラの解説が、また、ものすごく正しい。
ナオコーラの本は、今まで1冊も読んだことがないけれど、この解説を書いた感性をもった人が書いた本なら、おもしろそうと思わせる解説でした。

多分、これ、ライトノベルとして出された1冊。
でも、これ、ライトノベルの形をした、まったく別のなにかです。

桜庭 一樹、予想以上のおもしろさでした。文章も、凄い巧いと思います。
残念なのは、前半に沸点がきていること。それでちょっと損しているかも。
でも、そういう書き方が、正しい物語でもあります。

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ホルモー六景

ホルモーに関する短編小説6編。
すべて、完璧なお話です。当然、完璧におもしろいです。

この完璧な1冊のなかで、唯一の汚点は、つまんない解説ですねぇ。
これを載せた編集のセンスは最悪です。
有栖川 有栖。この名前は、ブラックリストに入れておこう。

閑話休題。
この6編の中で、特に好きなのは、「もっちやん」のお話ですねぇ。
なんて自然で、素敵で、優しい物語なんだ!
いつか、丸善がなくなった様に京の町が姿を変えていっても、ここに、いつも見た、あのときの京の町が残っているよ。上賀茂神社の近くには、描かれていなくても、小さなおもちゃ屋さんがあって……。もう、素敵すぎです。

そして、同志社黄竜組、復活!!ドラゴンが2つなのが気になりますが、龍と竜だからいいのか?

今、彼らは、5大学で、ホルモーを戦っているのか?
全国大会とかしているのか?
と思うと、本当に、ワクワクしてきます(笑)

万城目 学
角川書店,角川グループパブリッシング
発売日:2010-11-25

古川日出男,読書アラビアの夜の種族,ミステリー,砂の王,角川文庫,角川書店

アラビアの夜の種族3

さいごは、「災厄の書」の内側の物語よりも、外側の物語が力を持っての終了でした。
そのあたりは、「砂の王」ファンとしては、やっぱり純粋に「砂の王」の続きが……とも思うのですが、「砂の王」を越えていく方法は、これしかなかったとも思えます。

誰に「災厄」がふりかかるかについては、知っていた気もします。
でも、どういう因果で、そこに「災厄」が運ばれていくのかというのは、なかなかのミステリーでおもしろかったです。

古川 日出男の書く話は、常に偽史としての物語です。
そして、現実以上に、物語こそが力を持つという強い思いがあります。
そこが、現実よりも物語の方にあこがれて、「いってかえってこない」方がしあわせなんじゃないかと思っているわたしみたいな人間にとっては、とっても惹かれるところなんだと思います。

これからも、かえって来られなくなるような物語を読んでいきたいです。