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銀晶水

木原敏江さんの作品で、すごく好きなお話に異類婚のお話があるのですが、「花かんむりの牢屋敷」は、そのテーマがかなりストレートに出た初期の作品だと思います。

根底には、「おとぎ話」を信じる心というのがあって、それは、実は、他のすべての木原作品にも通じている気がします。

表題作の「銀晶水」は、異常な欲望のお話ですが、そこに「おとぎ話」としてのそれでも根底に流れる「愛」が語られています。

異常さに目を背けて、否定していくのではなくて、それをふくめた上で、物語として昇華させていくということは、他人を理解していく上でも、かなり大切なことのような気がします。

そこは、自分自身もっとも見たくないところでもあり、誰かに理解して欲しい傷口であったりもします。

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花の名の姫君

なんだか、木原敏江がというか、「天までのぼれ」が読みたい気分だということで、秋田文庫の木原敏江のシリーズに手を出しています。

「花の名の姫君」は、歌舞伎を素材にしたマンガなんだそうです。

いくつもの時代物のマンガを描いているので、こういう作品は、得意です。というか、こう、大げさに見栄をきるそんなのを楽しんで描いているような気がします。

すごく、陰性の人間を描いても、カラリとしているところは、もしかすると、こういったお芝居からきているのかなぁとも思います。

お気に入りは、「轟く滝の下で」。
まか不思議な仙人(美形。暗い)が出てくると、この人の世界だなぁと。
しかも、あっさり、すくわれちゃうし。

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杖と翼5

「夢の碑」の「鵺」あたりからだと思うのですが、この人の書く話が、めちゃくちゃ暗いはずなのに、なぜか、サラッとした印象になりました。

そこには、妄執や、いろいろな負の感情がかかれているのですが、それさえ全部ひっくるめて、不思議な明るさがでています。

それは、包容力といいかえても、いいのかもしれません。

悪いやつ、絶対の悪というのはある。
でも、それが、絶対の悪なのは、それがそれである限りしかたない。
だから、それすらも、認めてうけいれていこう。

うーん、言葉にするとなんか嘘くさいですが、そういう感じがするんですね。
この物語も、そうです。

かかれている事件そのもの、時代そのものは、とても血なまぐさいものですが、それでも、人間は、元気に生きている。
良いか、悪いかはわからないけど、元気に生きています。

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杖と翼4

結局、「権力」をめぐって闘争している限り、人間って腐っていくということかも。
トップが、どれほどクリーンでも、組織自体が大きくなるとなぁ。

でも、歴史が動いていくのを感じるのは、ドキドキします。
おもしろい。