ぺてん師と空気男 江戸川乱歩全集22
ミステリー的な「謎」よりも、「映像」が重視されている2編です。でも、映像重視も、けっこう大事だと思います。これはこれで、ドキドキして好きです。
まあ、やり過ぎ感もあるけれど。
「ペテン師と空気男」も、ネタが割れているところはあるけれど、けっこう楽しいお話だと思います。わたしは、こういうのは好きです。
でも、「ネタが割れてる」と書かれるのは、乱歩としてはつらいんだろうなぁ。
まぁ、「東大合格率日本一」っていうのがあって、そこから導かれて、ものすごく外側から書かれた本だから、こんな感じなんだろうなぁ。
失敗には理由があるけど、成功にはたいした理由はないというのは、この手の本を読むときに、いつも心にとめておかなければならないことです。
もちろん、そこからなにも学ぶなという意味ではないけれど。
この物語の中での1番の奇跡は、エチ先生に、自由に精一杯やれる環境があり続けたということですよねぇ。学校では、昔から、「教科書教えろ問題」っていうのがありますから。
確か、裁判にもなったような気がします。
その環境をつくって維持していくことも、もちろん、その人の徳であったりするのですが……。でも、その維持や、理解してもらうことにあまりにもエネルギーを使ってしまうと、肝心の所にエネルギーを費やせなかったりします。
目先のことしか見えないのは悲しい。
それは、自分にも戒めておこう。
容赦なく、バンバンメインキャラが死んでいきます。
これぞ、封神演義。
封神演義と、違うけど……。
今回読んでみて思ったのですが、これも、ある意味「神々との戦い」なんですよね。
終わり方、昔読んだときは、なんのこっちゃと思っていました。けれど、今読むと余韻のあるいい終わり方です。