応天の門7
多美子と高子。
2人の藤原の姫を中心に展開していきます。
陰謀のなかでコマとして翻弄されてきた高子と、なんというか、素直に大切に育ててこられて多美子の対比が凄いです。
まあ、わたしらよりも1世代上の人たちの青春である「ぼくらの時代」です。
多分、わたしらは、「ぼくらの時代」よりも、「グイン・サーガ」から栗本 薫に入ったのではないかと思います。もしかすると、「トワイライト・サーガ」からかもしれない。
おそらく、「ぼくらの時代」をはじめて読んだのは、中学生ぐらいのときかなぁ。
でも、一世代上といいつつ、小学生時代から従姉の影響もあり、少女マンガなんかをよく読んでいたわたしとしては、良くわかる話だなぁというか、同世代の空気や雰囲気は、感じていたような気がします。
まあ、ねぇさんのと気があったり、話があったりするのは、この辺の教養のおかげです。
多分、これ小説読む前に、雑誌にのったマンガを読んでいるんですよ。そこで、
「笑ったね、悪党ども」
という名セリフも読んでいたし、トリックもしっていました。
いや、本当にそんなマンガがあったかどうかは、確かめようがないのですが、たしかに、このテンポや会話、知ってると感じながら読んでました。
なんだろう。なかにめちゃくちゃウェットなものを含んでいるくせに、やっていることはものすごくドライというこの感じは、まさに時代だよねぇとしかいえないです。
その頃のわたしの行っていた中学は荒れていて、そういう雰囲気ともフィットしていました。
その時の「空気」が、わからない人にとっては、全然、理解できないのではないかと思いつつ、その時の「空気」をものすごく正確に切り取っているという意味では、やっぱり、名作なんだと思います。
文体は、かなり計算されていてあざといと思います。まあ、そこを含めての空気かな。
少女マンガ家たちの世界が舞台という以外は、案外覚えていないものです。
まあ、覚えていたのは、ヤスが就職した。ダーティペアが出てきた。みたいなことだけ。
薫くんの恋とか、どんな推理があったかとかは、さっぱりです。
ああでも、名探偵の謎解きのない推理小説なんてつまらないというのは、覚えていた。というか、ここで読んだのか。どっかで聞いたセリフだと思ったけれど、この本だとは思わなかった。
時代は、やおい華やかりし頃。で、けっこう、その世界の大御所の割には、辛辣です。
まあ、「ぼくら」シリーズは、他人から受け入れられるために書かれている小説なので、まあ、そういう書き方になるかというのもわからないでもない。多分、前回読んだときには、そんな辛辣さは、わたし自身もそんなに気にはならなかったので、時代がかわったというのもあるかもしれない。
でもなぁ、自らのバンドに「ポーの一族」ってつけている薫くんが、そこまで、やおいを嫌うかというのは、ちょっとあります。まあ、そういうポーズをしていないと、何をいわれるのかわかったもんじゃない時代でもあったんだと思うけれど。
そして、薫くんが、その時代を映す鏡としてのキャラクターだとしたら、そういう反応しかありえないのだともおもうのだけれども……。ちょっと、もやっとする感じではあります。
「猫目石」で、薫くんが恋する話を覚えていて、あぁ、でもこのキャラクターの女の子の好みというのは、ものすごく一貫しているんだなぁと、それは、今回あらためて読んで見て、ものすごく思いました。
ぼくらシリーズって、3人組が一人一人離れていく話なんだなぁと。
「ぼくらの気持ち」ヤスが離れて。「ぼくらの世界」では、ほぼ薫くん1人の物語と言ってもいいと思います。
そういう変化と、感じなくてもいいぐらいの自分を持っているはずなのに、時代の空気というを感じずにはいられない作者の栗本 薫との葛藤があるみたいで、あとがきがちょっと切なくて楽しかったです。
シャーロック・ホームズ賞を巡る事件ですが、甲野乙骨が、格好いいよねぇ。
あと、ダーティペアのケイちゃんは、結婚したんだとビックリした。
栗本 薫VS伊集院 大介。
といっても、そんなに戦っている訳ではなくて、はじめっから大介は薫くんのサポートにまわっている感じです。
これも、読んだことあるはずなんですが、ラスト以外はまったく覚えていませんでしたねぇ。
でも、この「伊集院大介はまちがっていた。」というラストは強烈で、めちゃくちゃ覚えていました。
そして、このラストだけで、後世に残っていい名作だと、読んだときには思ったのでした。
あいかわらずミステリーに向いていないわたしの脳みそは、あれ、なんで薫くん、一条に襲われたんだっけ?とか、すでに、記憶障害を起こしていますが。
で、今回、ラストも知った上で読んで、ちょっとゾッとしたのは、日美子の予言って、けっこう当たっていますよねぇ。ものすごい悪意をいれこんでいたのね、栗本 薫。
「猫目石」後の栗本 薫。
これ、なんでかラストシーンだけしっていたのですが、こういう話だったのか。
薫くんの話すときの一人称が「おれ」になっていたり、けっこう気の弱い女の子に手を上げていたりして、ちょっと薫くんというキャラクターに、違和感が……。
まあ、薫くんも、年をとったということなんでしょうけどねぇ。
あと、けっこう中盤まで殺人事件もなにも起こらなくて、これはもしかして、推理小説じゃないのかもしれないと思ったりしました。ラストに伊集院大介が出てくるのはしっていたけど、まあ、友情出演的なものかなぁと思っていました。
えーと、途中、犯人側に女の影が見えるのですが、「あれ、女ってこの話に出て来たっけ?」と、みごと欺されました。というか、まったく、記憶に残っていなかったよ、その人状態でした。
これで、長編での栗本 薫の物語は、完結したかんじなのかなぁ。
これ読んだことあると思っていたら、新潮社からでている「十二ヶ月」の1作ですね。
こういう、オーソドックスな短編を書かせると、栗本 薫は、絶品だと思います。
長編は、特にハードボイルドは、ラストがいまいちなのが多いからねぇ。
ヤスとは出会ってるけど、信とは出会ってないよね?
中学校から高校生ぐらいまで、読んでいたヘッセです。
多分、兄貴のおさがりの本だった記憶が。
「郷愁」とか「春の嵐」とかを最初最初に読んで、これは面白いと思って読み進めました。「車輪の下」は、まったく受け付けなかったけれど「デミアン」で衝撃を受けて。
1番好きだったのは、「クヌルプ」。あんな感じの放浪物は、今でもものすごく自分の根幹にある気がします。
昔はそれなりに新潮文庫で出ていたのですが、わたしが読み出した頃には、どんどん絶版になっていっている時期だったみたいです。
で、新潮社から出ているヘッセの全集を集めようとしたりもしたのですが、まあ、高校生ってお金ないし、そのうちにそっちも、人気のある巻以外は絶版になっていき……。
あきらめていたときに、京都のアバンティの本屋で、この全集を見かけたのだと思います。
まあでも、けっこうお高い本なので、迷って迷って、7年ぐらい迷って後、8年ほど前から購入しはじめた全集をやっと今、読み始めております。
1巻目は、青春時代の作品。
ということで、まあ、読んだことのない作品というか、作品以前の雑文というか……。
文章も、詩も、最初の方はとりとめもなくて、読みにくいです。多分、訳のせいだけではないと思います。
でも、ところどころで、ヘッセだなぁと思うところがあって、あぁ、この甘ちゃんな感じは好きだなぁとやっぱり思ったりします。
けっこう、鬱な感じの人だったみたいなのですが、作品を読むとそうでもない。なんか、躁と鬱とか、自信と不安とかが、交互に出てきていて、今でもどことかフラフラしているわたしには、心地よいです。
わたしの体の少年マンガの部分が、藤子・F・不二雄と永井 豪と松本 零士から出来ているとすると、あと半分の少女マンガの部分は、竹宮 惠子と木原 敏江と成田 美名子で出来ていると思います。
あっ、ちなみに和田 慎二は、少年マンガの血肉となっております(笑)そして、大島 弓子と萩尾 望都は入っていないのか?山田 ミネコはとは言いっこなしです。
ということで、その竹宮 惠子の全貌を語り尽くす本です。まあ、1冊では語り尽くせないですけどね。
「風と木の詩」の誕生の話は、何回か聞いたことがあり知っているのですが、それでも、すさまじいなぁと思います。多分、竹宮 惠子が、なにかに選ばれて、自ら選んだ瞬間なのです。だから、どの角度から話を聞いてもおもしろい。
竹宮 惠子には、まだ語って欲しい物語がいっぱいあります。「風と木の歌」や、「変奏曲」の続きとか。そして、新しい物語を。
もう、かかないのかなぁ……。
いや、去年から大学から離れてマンガ家にというお話も聞きました。期待しておこう。