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火垂るの墓 ジブリの教科書4

不思議だ。
「トトロ」で語られる言葉は、全部いらない言葉に聞こえるのに、「火垂るの墓」で語られる言葉は、1つ1つが重くて、何かを伝えようとしていると感じられる。

どっちの作品が、優れているとは言えないと思うのだけど、「トトロ」は語られることを拒否する物語で、「火垂る」は語りを誘発する物語であるようだ。

そこが、宮崎 駿と高畑 勲という2人の天才の、違いなのかも。

信用できないと思っている妹尾河童の語る野坂のエピソードさえ、ちゃんと聞こえてくる。
そして、野坂本人にすら、語らせる力が、この映画にはあったのだろう。

そして、そこまでの作品であるにもかかわらず、監督の高畑自身の欲望は、深く深く、物語のなかに、原作の中に隠されている。

大塚さんの話は、楽しいのだけども、最近のいつものように、ちょっと自分の政治的な思想に寄せて考えすぎだ。
自分の政治的な主張を強化するためだけに「作品」があるのだとしたら、それはつまんないことだと思う。
それから、多くが宮崎との対比で高畑が作った的なことを書いているけれど、どうも、鈴木 敏夫の話なんかを聞いていると、相手の作品を気にしているのは宮崎の方で、もし本当に対比させて作ったのだとすれば、それは、「火垂る」に対比させて「トトロ」が作られているということだと思う。

おそらく、それ以前の宮崎作品への高畑からのメッセージというのはあると思うけど、多分、「トトロ」の表現の細部を気にして「火垂る」が作られた訳ではないだろう。

もちろん、この題材を選ぶ時点で、「トトロ」との対比ということは意識されただろうし、宮崎が自分のいなところで、なにをどんな風にかくのか、ある程度は、高畑は知っていたし想像しただろうけども。
多分、高畑からの直接のメッセージは、「天空の城ラピュタ」と「かぐや姫の物語」が対応しているみたいに、ものすごく長いスパンのもののような気がします。

歴史に残る映画です。
見たら、トラウマも残るけど。

けど、その棘を心に突き立てたまま、ぼくたちは活きていく。

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陰陽師 醍醐ノ巻

どんどん自由になっていくなぁ。
今回は、特に「きがかり道人」でそう感じました。

これ、見えていてそのまま描写すると、まぁそれはそれで楽しいけれどアホな絵になるのですが、それが、蝉丸という目が見えない人物を通すことで、音と声でその絵を伝えてくるという上手さ。
素晴らしい。

あと、「白蛇伝」の人間の欲望さえも包み込む着地の仕方が、とても好きです。

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聖書を語る

佐藤 優、なんでも知ってるなぁというのは、西原 理恵子との本でも感じていたのですが、それ以上に読んでいた思ったのは、中村 うさぎって、メチャクチャ賢いですねぇ。
この人の本は、今までよんだことがなかったのですが、これだけいろいろなことを考えている人の本ならば、楽しいかもしれません。
しかし、これだけ考えて、しかも、なんでも自分で体当たりで体験しなりつきつめないといけない人生というのは、メチャクチャしんどいのではないかとも思ったりします。

これだけ賢い人同士(しかね融通が全然きいてなさそうな人同士)の話は、そりゃ、面白いわ。
「エヴァ」の話が出たら、次の対談までにちゃんと見ている佐藤 優も、偉い。

中村 うさぎ、今は、なんか体を悪くされているようで心配です。

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ベスト・オブ・映画欠席裁判

映画に詳しいわけではないので、けっこう、有名どころしか見てないです。
でも、知らなくても楽しめる。

ものすごい知識のある人のおもしろい蘊蓄っていうのは、いいですね。
多分、映画見てるよりもおもしろいかも。

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陰陽師 天鼓ノ巻

うむ。今、「逆髪の女」を読み返して、ホロッときていました。

「ものまね博雅」や、「鏡童子」など小品も、いい感じです。
ただ、これこの本のラスト2編。つまり、ラスト2編が連続で小品。
作品の並べ方は、もうちょっと工夫してもいい気がします。