ばいばい、アース2 懐疑者と鍵
2巻目。
この巻の中心は、アドニスかな。
矛盾すら、はじめから組み込まれるようにプログラムされたシステム。
今、自分がやっていることすら、決められた道なのか?それとも、そこから抜け出せているのか?
でも、それすらが、もう1つ大きなシステムの一部なのかも。
実は、「図書館戦争」が読みたいなぁと思っていた有川 浩。初読みです。
期待していた以上に、面白かった。まだまだ、おもしろい小説を書く人は、いっぱいいるなぁ。
ライトノベルがスタートでも、ラノベを越えていく人の作品というのは、読む価値があるな~と再確認。桜庭 一樹、冲方 丁、有川 浩と、なかなか、高確率でいい感じです。
最初読んだときは、「E・T」がしたいのかと思っていたら、途中で、「火星人襲来」みたいなパニック小説になったり、心理サスペンスっぽくなったり、いろいろ楽しませてくれました。
で、割とちゃんとSFしてるんじゃないかというところも、好感度高いです。
寄せ集め的な感じもあるのですが、そこが安心感にもなっていると思います。
そして、最後はこの人独特のところに着地した感じです。
うん、結構、硬派なところも好きです。
大人のライトノベルといわれて、納得です。
映画も、見てきました。
映画もおもしろかったけど、原作にはかなわないですね。まぁ、表現できる量が違いますから。
特に、春海とえんのお互いが結ばれる前のそれぞれの結婚生活が省略されちゃったのが、残念です。
あれがあるから、
「わたしより前に死なないでください」
というせりふが、どちらが言っても活きてくるのです。
それから、映画は、基本笑っていて、ときどき怖いえんなのですが、原作では、基本こわくて、ときどき優しいえんで、この書き方、冲方 丁、ツンデレがちゃんと解ってる…とか思ってしまいます。
いや、これって、けっこう大事なところですよねぇ。
冲方 丁は、今まで読んだことがなかったですが、ライトノベルのイメージがあったので、もっとSFよりのお話を想像していました。
「暦をつくる」といえば、陰陽師。ということで、「帝都物語」的なお話を期待して読み出しました。
期待とは全然違って、まったくSFではなかったですが、楽しく読めました。
勉強がおもしろいことに気づかしてくれる1冊ですね。これと「哲学的な何か、あと数学とか」は、学生時代に読んでおきたい物語だと思います。
青春ものであり、少年マンガ的であり、それでいて、歴史物としてリアルで楽しい。
なにより、主人公だけでなくて、出てくる人がいい味を出していて素敵です。
すばらしい。