元祖大四畳半大物語3 松本零士 BEST SELECTIONS
どんどん、キャラクターの性格が乱暴になっていきますが、それがいいような気もします。
主人公は、人畜無害ではなく、だんだんトチローさんに近くなってきた。
そして、なんか、ジュリーも、けっこういい人だし。ジュンさんは、きれいだし。
コンプレックスと願望と、いろんなものがごっちゃになった物語。
青春の物語なんだなぁ…。
案外、このマンネリがずーっと続くというのは、残酷なことなのかもしれません。
自分の若さがそのままなら、それでもいいかとも思うのだが、そんなことはありえないし……。
「どんな男にもたまにはあるべき酒池肉林」。名言です。
そして、祭りの後の孤独の厳しさまでかいてしまうのは、やっぱり、松本 零士のすごさだなぁと思いました。
朝日ソノラマ
発売日 : 2000-01
|
「男おいどん」の原型みたいなお話です。
「男おいどん」との違いは、下宿の人間との人間関係がかかれているところかな。ちょっと、大人向けです。
しかし、基本、「男おいどん」も、「聖凡人伝」も、これも、みんな同じ話です。
孤独は、環境ではなくて、心の状態なので、何者かになれるまで彼らが満たされることはない。そして、何者かになっていても、自分で納得しない限り、満たされない。
その心というか、恨みをずっと忘れないところが、松本 零士の凄いところです。
確実に、わたしの何割かも、松本 零士で出来ています。
宇宙ものや、四畳半ものは、ものすごく好きなのですが、昆虫ものは、イマイチと思っていたのですが、けっこう、楽しく読めました。
というか、この人のなかでは、宇宙も、四畳半も、昆虫世界も、全部つながっているんだなぁ。
「時の輪」の考え方や、「対立する存在の上にさらに存在する上位存在」という、けっこう最新作の「銀河鉄道999」にでてくるテーマが、言葉はこのままではないのですが、ほぼ、そのままのテーマとして出てきていて、感動します。
それを「マンネリ」ととるか、「極めている」ととるかは、受け取る人次第。
でも、テーマとしては、これだけの時間を耐えうる、永遠のテーマなんだなぁと感心します。