神が、全知全能なら…

ラルフ・イーザウ,読書

ネシャン・サーガ2禁断の地

「デクトラ」とは別の意味で、作者の意図を感じすぎてしまうファンタジーだなぁと……。
一神教の罠があると思います。

だって、神が全知全能なら、そもそも涙の地なんて生まれなかったろうし。
間違った信仰のせいで、報いがあったといわれてしまいますが、

失敗したこと=間違った信仰

成功したこと=正しかった信仰

というのは、後づけでついてくることで、実際に、間違ったことをしたからすぐに報いがくるわけでもなければ、正しい信仰をもっていたから、助けがあるわけでもないですよねぇ。

でも、なにかできないことがあると、「信仰の努力がたりない」とか言われちゃうわけです。この物語の世界では。

でも、どんな謙虚な心を持っている人だって、

「神が助けてくれる。力を貸してくれる」

と信じること自体が、不遜なことではないのか?
それは、自分が力を操っているのとかわらないのでは?

とか、思ってしまうわけです。

ネシャン・サーガ(2)

ラルフ・イーザウ, 酒寄 進一, 佐竹 美保 / あすなろ書房(2003/12)