忘れられない夏
サマーウォーズ
「サマーウォーズ」見てきました。
もともと、たまたまネットで予告編を見たんですよ。その時は、「サマーウォーズ」に関する情報は、いっさいなしの状態で。
「細田 守監督作品」とテロップが出てくるのを「押井 守監督作品」だと思ったりして見てました。
「……押井 守、今度は、えらい爽やかな作品をつくるんやなぁ……」
とか思ってみていたのですが、その予告編だけで、けっこう、泣けてきたのです。山下 達郎の歌に、なんともいえない夏の田舎の風景。たくさんの親戚に、しっかりもののおばあちゃん。
ノスタルジーは良くわからないと以前書いたことがあるのですが、自分の中に、それがあることを、今回、確実に感じてしまいました。現代劇というか、ちょっと未来のお話なんだけれども、とっても、懐かしいにおいがしました。
それは、ショートバージョンの予告編だったので、OZとかネットの世界のことは全然なかったのです。で、具体的に、どんな物語かは、一切、わからなかったのですが、強烈に、この映画を見てみたいという思いが強くなりました。
で、すぐに、
「なーなー、映画見に行こう。アニメ」
という話になったわけですが、たいがい見る映画の好みはわたしの好みなので、一切情報なしに、
「いいよ~、いつ、どこでやってるのー」
と答えるねぇさんは、えらい人だと思います。そして、たいがい、映画を見る前には、
「なーなー、途中でねてたらゴメンな」
と、テンション低(笑)
調べてみると、滋賀県では、近江八幡でしかやっていない……。
ということで、大阪、梅田まで出て見てきました。
「うーん、聞いたことない映画やなぁ」(姉さん談)
まぁ、わたしは、その後、偶然、テレビでやっていた特集とか(キャイ~ンが紹介していた)とかを見たり、ネットでの評判を見たりして、おもしろそうだと期待していたのですが。
でもまあ、地方ではやっていない映画ですし、観客も少ないかなぁと思いながら映画館に行ったのですが、2時間前で、ほぼ満席。こんなにお客さんが入った映画は、久しぶりに見ました。
映画は、期待通りというか、期待以上の出来でした。
映画が終わって、映画館を出るときのわたしの感想は、
「これ、もう1回見たいな」
おもしろいと思う映画はいっぱいあるのですが、けっこう1本映画見ると疲れたちゃうので、見終わってすぐに、こんな感想を持つ映画って、すごく珍しいです。
以下、ネタバレありです。映画を見に行ってからお読みくださいませ。
あこがれの先輩から、気の弱い主人公が彼氏の代行をお願いされるというのは、メチャクチャベタな、良くある物語の始まりだと思います。
ストーリー自体には、ものすごい目新しさはないです。どちらかというと、物語の文法に従った物語の作り方です。
ストーリーについては、ツッコミどころもけっこういっぱいあります。
物語は、今からちょっと未来のネットが発達した世界なのです。主人公は、OZのメンテナンスなんかをしているネットに精通した人物です。
そんな人が、いきなり、訳のわからないメールに返信って、あんた……とか。
↑ もちろん、OZからのメールとかを偽装したメールだったんだけど、そういうところは、省略されていたんだよねぇ。
OZの中では、アバターが走り回るのですが、あれ別にジャックインとかしている訳ではないので、実は、キャラがモニターに映っているだけなんだとか。
そうすると、表情も動いたりしているけど、あれも自動制御のプログラムか、コマンドをキーボードなり、携帯なりで打ち込んでいるんだ……とか。
↑ もちろん、カズマも、→PPPKとか、↓G+Kとか、キーボードで打ってるわけですね。
ラブマシーン、ゲームのルールそのものをいじれるだろう、本当は。
自分のあたり判定をなしにすれば無敵になれるし、こいこいのシャッフルだって思いのままだろうとか。
だいたい、いちいち1人ずつアカウントを乗っ取るんじゃなくて、上の権限を乗っ取れば、一気に好奇心も満たせるだろうにとか。
↑ もちろん、ラブマシーンは、そうすることもできたんだけど、ゲームを楽しんでいたわけですね。ある一定のルールは、ゲームを楽しむために破れない設定だったのだと思います。
まあ、だいたい、なんで先輩は、主人公をバイト相手に選んだの?
とかからして、ものすごく謎な部分はあるのです。
でも、でも、そんなことは、実は、どうでもいいことで(爆)、上で書いていること見たらわかりますが、それぞれ見た人のレベルで、自動的に脳内で補完されちゃいます。
ええ、不思議なほど、それが不満の原因には、いっさいならないんです。
それはなんでかというと、やっぱり、演出のうまさだと思います。
だから、この映画は、実は、宮崎 駿の映画とよく似ていてます。ストーリーの強引さを、ほとんど、演出でカヴァーしてしまう。
ハッとするのは、やっぱり、夏の田舎の風景です。においまでしてきそうな。
そして、4代にわたるたくさんの親戚たちは、本当にリアルです。
うちの父親の親元も、まだ、お正月になったら一族が集まる習慣があるので、あの雰囲気、よくわかります。その雰囲気のファンタジーな部分だけ、楽しい部分だけを抜き出したような感じ。
ねぇさんをはじめて、うちの身内にあわしたときも、ちょうどあんな感じでした。
大おばあちゃんは、この物語の本当のヒロインです。かっこいいです。
そして、人が言って欲しいと思っていることを、本当に、言ってくれる人なのです。
たいがい、この映画で泣けるシーンというのは、大おばあちゃんのところです。
「大丈夫。あんたなら、できる。あたしゃ、信じてる」
このセリフに、なんの根拠もないんだけれど、それでも、なんと励まされることか魔法みたいです。
途中で、このヒロインが物語から退場したときは、どうなることかと本当に思いました。
親戚たち、1人1人に、役割があって、気持ちがあって、それも、すごい。
大おばあちゃんが死んだ後、お葬式の準備をすすめる女衆と、合戦の準備をすすめる男衆とか。どっちも、すごい好きだし、両方、わかる。あるあるという気持ちがわいてきます。
基本的には、いろんなユーモラスさのなかに、それぞれ、しっかりとした気持ちとか、その人の育ち、土台が表現されています。
そして、これだけいっぱいの人が出てくる物語にもかかわらず、主人公の気弱な男の子が、成長していく話なんだという芯は、ぶれずにしっかりもっています。
「この映画、そのうち、滋賀でも、全国でも、やるようになるよ」
というのが、一緒に見た、ねぇさんの感想。
うん。夏の映画なので、このひと夏で全国に広がっていくのは難しいかもしれないのですが、夏休みの金曜ロードショーとかで、毎年の定番にならないかなぁという名作であるのは確かです。
細田 守。名前、覚えておこう。
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