たった1度だけのあの夏へ

読書,高橋しん

トムソーヤ

坂道ばかりの街を、汗を飛び散らせながら駆け回った。
これは、彼女の「少年時代の最後の夏」の物語。

と書いて、手が止まった。

高橋 しんがかきあげた、あざといまでにキラキラしているこの物語が、名作でないわけがない。
けど、登場人物が深く書かれない部分に、どこか行き当たりばったりのストーリーに、不満がないわけではない。
どう受け止めていいのか、迷っているのかも。
でも、それはこの物語が若いスタッフたちの(?)共同作業で作られているからなのだと思います。
多分、高橋 しんが、一人でつくりあげたなら、もっと計算され尽くした物語になったはず。

でも、それでも、いいのかもしれないという気がしています。
主人公が、少年ではなく、くわえタバコの大人の女性であるという、ささやかな悪意(?)だけに、なんとなく高橋 しんの存在を感じたりするのですが。
だって、多分、行き当たりばったりだったんです。自分のこと以外は、それほど深く考えてたわけではなかったんです。
でも、大切な物のことは、わかっている気がしていた。

少女マンガだったとは、あとがきを読むまで気づかなかった。
メロディという雑誌は、ふところが深いなと思います。

あぁ、なんだかとっても、とりとめもなく。