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拡張幻想 年刊日本SF傑作選

「虚構機関」を読み始めたときは5年差だったのに、とうとう10年差になってしまいました。
そして、10年って、たいして前じゃないよなぁと思えてしまうところが、ちょっとイヤです(笑)

今回、今までの「年刊日本SF傑作選」と比べて、メチャクチャ読みやすかったです。そして、読みやすいから、すごい短期間で読めたのではとか思っていたのですが、前巻読んでから、やっぱり、きっちり3年かかっていますねぇ。
うむ。次は、もう読み始めてますが、やっぱり3年後かな。今や、このシリーズも、出版社が創元社から竹書房にかわっています。

それはさておき、今回は、読みやすく感じました。毎年、何作かはまったく受け付けない意味わからない作品があったのですが、今回はそれを感じませんでした。1それは、トリビュート作品が多かったせいかもしれないですねぇ。

まあ、なかでも爆裂に読みやすかったのは、伴名 練ですねぇ。
「美亜羽に贈る拳銃」は、いいです。

これを読んで、伴名 練の作品集である「なめらかな世界と、その敵」を読んだのです。
そして、今、「結晶銀河」の感想を読んで、衝撃的な事実が。わたし、「ゼロ年代の臨界点」読んでるわ。どうりで、とっかで聞いたことがあるような話だと思った。
そして、やっぱり、感想としては、わかりやすいだったみたいです。
まあ、SFとして単純というわけではなくて、小説としてオーソドックスでおもしろいという意味ですけどね。

後半の方が、印象が残っているせいもあると思いますが、円城 塔の「良い夜を待っている」も、凄い好みです。

大森 望,日下 三蔵,
小川 一水,庄司 卓,恩田 陸,堀 晃,瀬名 秀明,とり・みき,川上 弘美,神林 長平,伴名 練,石持 浅海,宮内 悠介,黒葉 雅人,木々津 克久,三雲 岳斗,大西 科学,新井 素子,円城 塔,理山 貞二
東京創元社
発売日 : 2012-06-28
  1. まあ、3年かかって読んでいるので、忘れているだけという説もあるかもしれませんが。 []

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なめらかな世界と、その敵

SF短編集。シリーズじゃない、しかも短編の日本の作家のお話って、そういえば少ない。

ツイッターで、「ひかりより速く、ゆるやかに」の冒頭部分だけ公開というのが流れてきていて、けっこう気になっていました。
で、最近 読んでいる「年刊日本SF傑作選」の2011年版「拡張幻想」に、「美亜羽へ贈る拳銃」が載っていて、これが、良かった。

小説としては、ものすごく読みやすくて気持ちいい。だから、読後感とかは、ものすごく新しいものを読んだというよりも、そうなるべきところに落ち着くものすごくオーソドックスなものを読んだ感が強いです。新鮮よりも、爽快さ、納得感、格好良さが凄い。
それが、SFのガジェットの面白さとがっちり組み合っている感じです。SFのガジェットの方は、ハードな設定というよりは、こんなシチュエーションならどうなるのという「if」的です。

ラストは、特に読み終わった後、想定の範囲内だなあと感じることが多いかも。
例えば、表題作の「なめらかな世界と、その敵」だと、結末、若干拍子抜けしました。圧倒的に若いわ。でも、それ以外は、ありえないよねぇというラストです。だから、想像しなくても、おさまるところにおさまった感があるので、後付けで「やっぱりこうなったか」と思っちゃうという気もします。

「ひかりよりも速く、ゆるやかに」と「美亜羽へ贈る拳銃」は、リリカルな感じが強くて、SF書きであると同時に作者が強烈に小説家であるなあと感じさせます。
まあ、「ゼロ年代の臨界点」みたいな、強烈なやつもあるのですが。これ、何かのパロディですよねぇ。どっかで聞いたことがあるような話だ。

思わず声に出して読みたくなる格好いいフレーズというのがあって、「美亜羽へ贈る拳銃」のラストのフレーズは、それです。
「翼あるもの」の「As Tears Go By」のラストフレーズに匹敵する格好良さです。