インフェクション28
犯人の明確な意図が話される巻です。そろそろ、ラストに向かって走り始めた感じです。
死を世界からなくしていいのか。
その問いに、それぞれは、どう答えるのか。
しかし、紗月の考えていることも、確かにと思わせる。人間って、自分自身で裏の理由なんて気づいていないことも多い。
さて、どんな結論がでるのか、楽しみです。
順調に読めています。
前の巻の時もかいたけど、読みやすい。
酉島 伝法以外はという限定付ですが、とっても読みやすい。
冲方 丁さんのやつは、最初は読みにくかったけれど、これ、「ファィブスター物語」じゃんかと気づいた途端に、メッチャ目の前に場面が浮かぶようになりました。
いや、ニンジャースレーヤーズしらないので。
しかし、逆に酉島 伝法は、書いてある言葉はわかるのに、まったくどういう状況で、どういう描写なのかがわからなくて、わたしにとっては異質です。
でも、「皆勤の徒」は、賞とってるし、それなりの人が理解して読んでいるということか。
まあ、それでも、初めの方の「年刊日本SF傑作集」は、そういう読みにくいのが2、3篇は入っていた印象なので、丸くなったんだと思います。多分、大森さん一人の選になると、けっこうトンガリすぎるのではないかと……。
宮部みゆきの「さよならの儀式」は、ロボットとの交流ということで好きな奴です。
まあ、短編ということもあって、オチはそんなに気に入らなかったけれど。
これで、ワンダービット最終刊。
なんだろう、こんだけアイデア短編をかいたマンガ家って、けっこう、この時代、貴重なのではないかと思います。
この時代に日本SF傑作選があったら、きっとどれかは入っていると思います。残念。
前、創元で出たSF短編マンガ集も、これよりもちょっと古いものがほとんどなんですよねぇ。
この時代、前衛的なのはあったけど、SF的な短編は、けっこう少ない気がします。どうかな?吾妻 ひでおは、けっこう、マインドはSFでも、けっこう文学よりだしなぁ。
まあ、後半はちょっと物語同士にゆるやかな関係があったりもしたのですが。
不思議な文庫本で、第一部は短編小説、第二部、第三部はエッセイ集。
ハヤカワ文庫のアシモフだから、大丈夫だろうと買わずに少しほっておいたら、なんか、あっという間に絶版になっていて、ビックリした。多分、この次に出たアシモフの初期短編集が出た頃には絶版になってゐのでは。創元文庫のアシモフも、結構、絶版になったしなぁ。「聖者の行進」とかは、もう読めないのでは。けっこう、あわててこの本は、古本屋さんでかったような記憶があります。
オールタムで廃れない作家だと思い込んでいましたが、死んじゃった後は、やっぱりちょっとさびしい感じになりましたね。ロボットものの長編なんかは、新版がでてますけど、自伝とかもいっこうに文庫になりません。
アシモフって、なに読んでもオールタイムにおもしろい作家だと思うのですが。
ときどき、無性に読みたくなるのです。全集が出て欲しい作家さんです。
まあ、絶版については、昔よりも早く本がなくなると感じているのですが、実は、そんなことはないのかもとも思っています。
子ども時代の方が、時間の流れがゆっくりなので、ずっと同じ本が書店の本棚にあったような気になっているだけで、実は、同じぐらいの流れなのかもしれません。
めちゃくちゃおもしろいというわけではないけれど、安定してクスッとしたり他では得られない安心感があります。
ラスト。
江戸川乱歩全集、全30巻コンプリートです。
もともとは、講談社文庫から出ていた江戸川乱歩全集1があって、それは、天野 喜孝がイラストをかいていたんですよねぇ。これを65巻全部集めて読みたかったのですが、その頃、高校生で財力が無かったため第1回配本ぐらいしか購入できなかったのです。たしか、月5冊ずつぐらい出てたしなぁ。
まあでも、それで大人物向け少年向けのどちらもの物乱歩の面白さを知って今にいたるわけです。
実は、図書館にあるポプラ社の乱歩シリーズは、絵が怖くて手を出してなかったんです。あの時、イラストが大好きな天野さんでなかったら、乱歩自体読んでなかったかも。
今はだいぶん風向きがかわりましたが、日本で、小説といえば、それもエンターテイメント小説といえば、ほぼミステリーで、わたしは、ミステリーがあんまり好きではなくてわりと小さな時から星 新一とか、眉村 卓とか、SFばっかり読んでいたのですが、そんなときでもホームズと乱歩だけが読めるミステリーでした。その後、クリスティーとかも好きになりますが。
まあ、ほぼミステリーばっかり出て売れているという時代は、この本を読むと乱歩と仲間たちが、コツコツと積み上げて作っていったんだろうなぁと。
そして、いっつも、推理小説のことを応援しようと喜んでいる乱歩の文章を読んでいると、今の推理小説を読んだら、どんなふうに乱歩だったら語るのかなぁと、なんか楽しくなってきます。
いや、別にミステリーがわたしの好みでなくても、その道に詳しい人が愛を込めてそのジャンルを語るのは尊いです。