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陰陽師13

作者自身は、めちゃくちゃ明確なものを、めちゃくちゃ明確なビジョンで描いているにもかかわらず、読者には幾通りもの解釈の仕方がある。
わたしの好きな「名作」は、そんなのが多い気がします。

例えば、マンガでは、永井豪の「デビルマン」。例えば、映画では、アナ・トレント主演の映画「ミツバチのささやき」。
小説では、なんだろう?最近読んだ、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」がそうかもしれない。
みごとなぐらい、語る人、語る人によって、物語の解釈がかわっていく物語というのがあります。

そして、この岡野版「陰陽師」も、そんな物語の1つなのかも。

多分、岡野玲子自身は、説明するのさえめんどくさいぐらい明確なことを自分では描いている。
でも、その受け取り方は、人によって違う。

原作との大きな違いは、晴明のこの世への錨が女の子であることだと思います。
それは、原作にない深みをこの作品にあたえています。1

  1. これは、どちらがいいという物ではないです。そのかわりに、原作にある「軽さ」は、なくなってしまっているので。 []

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陰陽師 龍笛ノ巻

時々、岡野陰陽師を読んでいると、夢枕陰陽師から、遠く離れたところにきたなぁと思います。
でも、ときどき、やっぱり原作、さすが原作と思わせる話がきっちりあってよいですねぇ。

人物の取り扱い方、特に陰陽師の術者関係は、道満にしろ、保憲にしろ、かなり扱い方が両陰陽師の中で違っているのですが、なんか、作品中の人物の韜晦の仕方とかは、ときどき、ドキッとするほど似ていたりします。

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陰陽師 安倍晴明の末裔たち

荒俣宏といえば、「帝都物語」。
「帝都物語」といえば、「陰陽師」。

だと思っていたので、この本が「帝都物語」のあとに書かれたというのは、けっこう意外です。

荒俣宏は、博物学者をめざしていて、ものすごい知識を持っているというのが、わたしのイメージ。
だから、この本で書いたようなことは、もうとっくに知っているのだとばかり思っていました。

だいたいこの本、おもしろいんだけど、いつもの不思議な荒俣節が見られなくて、とってもおとなしい真面目な本になっています。
これは、荒俣ファンではなくて、新書の読者のために書かれた本ということなんでしょうか?

てな、作者への興味はおいておくとして(笑)

「陰陽師」というのは、本当におもしろい集団だなぁと思います。
僧侶であるとか、山伏であるとかは、信仰の結果として、超能力を得るわけですが、陰陽師の場合は、そういう中心になる信仰がないんですね。
そして、信仰がない故に、いろいろなものの技術だけを抜き出していく。
潔斎するのも、神に仕えるからではなくて、そうすると術の能力があがるからという身も蓋もないところがあります。

そういう魔術というのは、かなり珍しいのではないかと思ってしまいます。

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妖説 源氏物語 1

「源氏物語」といいつつ、もう、光源氏は死んでいて、宇治十帖の時代です。
主人公は、薫と匂宮。
とくれば、以前のわたしなら、よまなかっただろうなぁと思います。

「宇治十帖」って、お話が、ちょっと小粒じゃないですか(笑)
やっぱり、大河物語って、1代目がすごい人で、2代目になると、おもしろさが少なくなってくる気がしますよねぇ。「三国志」とかでも。
と思っていたんですね。

でも、俵万智の「愛する源氏物語」を読んで、「宇治十帖」のおもしろさを知りました。ということで、ノベルス版がでているときから、けっこう気にしていた本です。

えーと、源氏物語の時代と人物を使った短編の怪談話です。

夢枕獏の「陰陽師」ほど奥の深い話ではなくって、どっちかというと岩崎陽子の「無頼」を思い浮かべてしまいました。まあ、アクションは、全然ないですが……。
平安貴族とアクション……これほど似合わないものもないな。まあ、匂宮は、兵部卿なんだけどねぇ。

でも、けっこういい雰囲気を出しているので、きっと読み続けていくと思います。

ほら、「宇治十帖」って、

「もしや、彼女に男ができたのでは…」

とか薫が思って終わるじゃないですか。
あれ、けっこう、衝撃的な幕切れなんですよねぇ。で、この物語では、どうやって終わらせるのかけっこう気になってます。

といいつつ、まだ、浮舟どころか、大君も、小君も出てきてないんですけどね。

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陰陽師12

今まで、岡野玲子の「陰陽師」のレビューって、書いたことなかったんですねぇ。
なんか、意外だ。

でも、いろんな解釈があるから、下手なことを書くと、バカにされそうだという緊張感がただよいますねぇ(笑)
まあ、わたしは、いつも、「自分勝手解釈読み」ですから……。

えーと、昔、まだ実家にすんでいた頃、夜中にマンガを読んでいて、隣の部屋にいる妹にまでクスクス笑いが聞こえたそうな。

「何読んでたの?」

と聞かれて、その時読んでたのが、岡野「陰陽師」と「ガラスの仮面」だったという。

「ガラスの仮面」は、単純に、月影先生が笑うと、自然にわたしも笑いたくなってくるという……。みなさんは、そんなことないですか?

岡野「陰陽師」は、多分、1巻、2巻あたりを読んでたんです。あれって、クスッで笑うところありますよねぇ?
妹は、

「ない!」

とキッパリと申しておりましたが……。

で、そんな笑いを誘う岡野「陰陽師」だったのですが、それが、8巻の水場を踏んでいく話あたりから、メチャクチャ張りつめたものになっていたんです。

ストーリー自体も、内裏炎上とか、けっこうきつい話が続きましたし。
晴明自身がやっていることも、どんどん、博雅にも力を貸してもらえないような、タイトロープをわたるような話ばかりでした。

でも、12巻になって、ちょっと笑いが戻ってきたのかなと思います。それがまあ、けっこう私的には、うれしかったりします。
まあ、張りつめたものは、残っているんですけどね。
でも、10巻、11巻みたいに、どんどん真綿で首を絞められるような感じはなくなりました。

確か、13巻で完結。完結に向けて、確かにお話が動いているなぁと感じます。