ミステリー・イブ2 松本零士 BEST SELECTIONS
「時の輪」の考え方や、「対立する存在の上にさらに存在する上位存在」という、けっこう最新作の「銀河鉄道999」にでてくるテーマが、言葉はこのままではないのですが、ほぼ、そのままのテーマとして出てきていて、感動します。
それを「マンネリ」ととるか、「極めている」ととるかは、受け取る人次第。
でも、テーマとしては、これだけの時間を耐えうる、永遠のテーマなんだなぁと感心します。
「時の輪」の考え方や、「対立する存在の上にさらに存在する上位存在」という、けっこう最新作の「銀河鉄道999」にでてくるテーマが、言葉はこのままではないのですが、ほぼ、そのままのテーマとして出てきていて、感動します。
それを「マンネリ」ととるか、「極めている」ととるかは、受け取る人次第。
でも、テーマとしては、これだけの時間を耐えうる、永遠のテーマなんだなぁと感心します。
松本 零士のかくキャラクターのなかで、誰が1番好きかというと、大山 トチローが大好きなんです。
ということで、大山 トチローの永遠の恋人・エメラルダスの物語「クイーンエメラルダス」は、わたしにとっては、松本 零士の最高傑作の1つだと思います。
もっとも、この1巻目には、トチローのトの字も出てこないんですけどね。
さらに、多分、エメラルダスがさがしているものって、トチローの消息だと思うのですが、どうして、
「わたしがさがしもとめているものがなにかを知ったら…海野広は、わたしを殺そうとするだろう」
なのか、まったく意味がわかりませんが(笑)
うーん、エメラルダのお話は、この「クイーンエメラルダス」というお話だけで閉じているのではなくて、「宇宙海賊キャプテンハーロック」や、「ニーベルングの指輪」、「銀河鉄道999」などの中で何度も語られる、お互いに細かいところは矛盾していたりする物語全部を含んでおもしろいのです。
スターシステムを使ってかいているマンガ家ってけっこういるのですが、こうやって、どの作品も、結びついていないようで結びついている作風っていうのは、松本 零士ならではだと思います。
「第1部」、「第2部」にわかれていたりして、目次だけ見ると長編かと思うのですが、短編です。多分、連作でもないと思うのですが……。
本人の中では、連作だったのかも。というか、松本 零士のなかでは、自分の生涯の仕事、全部の物語が、つながっているような気もします。
表題作は、原作、宮沢 賢治とかいてありますが、まあ、原作というよりも、原案的な感じです。オマージュ。でもこれは、たしかに、「銀河鉄道999」の原型なのだと思います。
この人は、短編の名手だったのですが、中編の方があまりにも有名になりすぎて、短編が散逸してしまっている気もします。
全集的なものが、出版されるとうれしいです。
「四次元世界」に続く、少年時代に読んだ大人の松本 零士です。
「四次元世界」は、昔の小学館文庫から出ていましたが、こっちは、昔の秋田漫画文庫からでていたと思います。マンガの文庫本ブームみたいなのがあって、大人が読むのにも耐えられるのは、けっこう文庫出てていたのかな?
たしか、萩尾 望都の「百億の昼と千億の夜」も、秋田漫画文庫で、1番最初に読んだのです。
前も書いたけれど、本当に、松本 零士は変わらない。かわらないから、もしかして凄いのかも。
すでに、今と同じテーマ、時間の輪の物語をかききっています。
松本 零士の初期の作品。
これ、2巻本として小学館文庫から出ていて、小学校時代に古本市でこの本の2巻だけを購入していました。
その頃、松本 零士は、わたしにとっては、「銀河鉄道999」と「宇宙戦艦ヤマト」の松本 零士でした。あと、もうちょっとマニアックなことをいうと、「宇宙海賊キャプテンハーロック」と「1000年女王」と「クイーンエメラルダス」の松本 零士でした。
つまり、アニメとマンガが、まだ自分のなかで未分化だった時代ですね。
松本 零士は、その時代、1番色っぽい絵をかくマンガ家さんでした。
ワープのときに、森 雪が、なぜかヌードになってしまったり、メーテルが意味もなくお風呂に入ったりと……。そのあたりは、強烈な印象を残しています(笑)
まあ、そのころから、松本 零士は、けっこうアダルトよりの作品を発表していたはずです。
で、わたしが初めて読んだアダルトな松本 零士が、この「四次元世界」の2巻目だったわけです。
だから、わたしは基本的にこの本をドキドキしながら、エロ本として読んでいた記憶があります(爆)
でも、今読むと、それほどではないな……時代というものなんでしょう。きっと、昔の方が、わたしも想像力も、妄想力もあったんだと思います。
その後、友だちが、同じ松本 零士の「大不倫伝」なんてのを購入したりして、これは手に入らなくてうらやましかったのを覚えています。
マニアな人間には、マニアな友ですな。
さて、今回読み返してみた(前半部は、今回が初めてです)、四次元世界ですが、そのエッチな部分以外も、けっこう覚えていて、影響をうけているのを思い知らされました。
そういえば、今も昔も、わたしの理想の男の中の男は、大山 トチローでした。
というか、松本 零士、改めて、この時代から、全然かわっていないのだなあ。今にして思うと、わたしが松本 零士のどこに惹かれたのか、惹かれているのかが、とってもよくわかってしまいました。
前半にたくさんある昆虫ものは、ひたすら好きなものをかいている感じがします。
今と比べると、コンプレックスがむき出しの作品です。でも、小学生から中学生にかけての思春期のわたしにとっては、容姿の問題とか、そういったコンプレックスは、ものすごく深刻な重要な問題でした。
そして、「今に見ていろ」という思い。
まあ、よく考えてみたら、松本 零士のかくキャラクターたちは、なんのかんのといって(最終的にはふられるにせよ)、けっこう女の子に優しくしてもらったり、つきあったりしているので、実は、その頃の私にとっては仲間ではなくだまされていたのですが(笑)
でも、そのコンプレックスを内にためて、がんばっていくというのは、やっぱりものすごく共感が出来る物語だったのです。
あと、「古本屋古本堂」の主人公とかは、今でも完璧に自分のことではないかと思ってしまいます。この物語に影響されて、今の自分ができあがっているのかもしれない。
「枯木霊歌」のドクロが歌う歌は、曲をつけて自分で歌っていました。読んで思い出したら、今でも歌えた!!
こう思うと、エッチ以外の部分でも(今回、読み返して意外とエッチのシーンが少なかったのは先に書いたとおりですが)、このお話たちが、ものすごく好きだったのがよくわかります。
次は、幻の「大不倫伝」が読みたいなぁ。