エグニマ(下) アランチューリング伝
なんというか、読みにくい本ではありました。
全部が、ごっちゃ煮になって入っている。
でも、そのごっちや煮が、チューリングなんだなぁと。
つまんないこと(と自分が感じること)には一切興味がなく、不器用に、それでもおもしろいと感じることはたくさんあって、それを愚直に研究していく。
変わっていくのは時代や周りの方で、彼自身は少年の時代のまま変わらない。
チューリングは、山形 浩生の「コンピュータのきもち」という連載エッセイで知った名前です。とっても、変人だった。でも、コンピュータの基礎をつくった人。
で、映画「イミテーション・ゲーム」は、そのチューリングの話で、お気に入りの「シャーロック」の俳優であるカンバーバッチが出ている。なんか、チューリングの変人さと、シャーロックの変人さって、似たところがあるかも。おもしろいかもということで、映画を見に行きました。
ここから、ちょっと、チューリングブームがきて読みました。……、いや、映画見てから4年ぐらいたっているんですけどね。
映画は、わかりやすいエンターテイメントで、絵になるところを集めてあるのですが、こっちの原作の方は、けっこう硬い伝記です。で、なかに数学の話が出てくると、当然のごとくチンプンカンプンなのですが、チューリングという人のおもしろさは、ものすごく伝わってきます。おもしろい人なのですが、ものすごく生きづらそうです。
それから、特にこの上巻は、少年時代の話が書かれていて、グッとくるのです。クリストファーのことをいつまでも、ずっと大切に思っていることとか。
あと、フォン・ノイマンとチューリングは、まったく別々のところでコンピュータの元をつくったのだと思っていたのですが、そうでもなかったみたいですね。そういう発見もおもしろかった。