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西の善き魔女4 世界のかなたの森

前巻で運命の別れをした、フィリエルとルーン。
いきなり、この巻のまん中ぐらいで、再開しています。

きみら、どんなけこらえ性ないんや(笑)1巻分ぐらい別行動しろや~。

と思わず叫んでしまいました。

でも、おもしろい。そして好きです。

物語は、この世界の成り立ちへ。
世界の果てにある見えない壁。誰がいったいこの世界のシステムを作ったのか?

「西の善き魔女」は、フィリエルとルーンの物語ですが、この世界はすごい魅力的で、彼ら以外の物語も語れそうなぐらいノビノビと広がっています。

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西の善き魔女3 薔薇の名前

守りたいと思っている相手と守りたいと思っている故に離れていく。
そういうお話です。

フィリエルは、気持ちいい荻原ヒロインの典型ですねぇ。

同じ童話が残っているということは、この世界は、わたしたちの住んでいる世界と地続きの世界なんだろうか?未来?
この世界が、どうやってできたのか?竜?
大きな物語と、フィリエルとルーンの行く末という小さな物語と、どちらも楽しいです。

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西の善き魔女2 秘密の花園

どこかで見たようなシーンがはさまれるのは、題名と同じく、わざとです。
好きなものをなんでも放り込んだかのように見える物語ですが、すごく計算されて組み立てられた部分も多いです。
そして、いろいろな物語の断片のようでありながら、しっかりと「西の善き魔女」という全然別の新しい物語でもあります。

多分、同じような物語を読んで育ってきたから、たまらない部分があるんだろうなぁと思います。
子どもの部分と大人の部分が、うまく、同居していて、それがくすぐられている感じがします。

まあ、そういう理屈を抜きにして、「第二章 暗躍する花々」という題名を見ただけで、素敵で爆笑してしまうのですが。花々、暗躍するなよ!!いやでも、本当に、そういう話なんですけどね。

「そこの、色魔みたいな人!」

も、素晴らしい。もう、忘れられん。

物語全体が、舞台劇のような感じです。宝塚とかでも、似合いそうです。

しかし、小学校の図書館にこの本がさりげなくあるわけですよ。一部、良い反応をする子どもは、きっと、すごい教育をされるな(笑)
でも、そういう意味でも、いい本だと思います。

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西の善き魔女1 セラフィールドの少女

今までは、「勾玉」のシリーズしか読んだことのなかった荻原 規子の西洋ものファンタジーです。
荻原 規子のデビュー作が、「空色勾玉」なのですが、この話は、ファンタージー読みにとってはそれより懐かしい感じがすると思います。きっと、荻原 規子自身が、小説家ではなくてファンタジー読みだったときに、夢想したお話が、この「西の善き魔女」だったのではないかと思ったりします。

すごい、映像が目に見えてくるようなお話で、楽しいです。あまりにも、はまりすぎて、笑ってしまうところもあるんですけどね。
例えば、フィリエルと伯爵がはじめて対峙するシーンなんか。たしかに、えらい人って、なんか後向いてて、クルッと振り返るよなぁ(笑)

ただ、単純に、西洋風の異世界のファンタジーというわけではなくて、いろいろな秘密や、謎を、世界自体がもっているようで、これはなかなか、先が楽しみなお話です。

展開が、思わせぶりじゃなくて、どんどん進んでいくのも、なかなかジェットコースターな快感です。博士の恋愛なんて、もっと引っ張ってから正体あかすのかと思っていたら、めっちゃくちゃあっさりわかってしまって、ビックリしました。

女の子は、荻原 規子の主人公だなぁという感じです(笑)でも、そこもいいと思います。

文庫本には、カバー以外にイラストはないのですが、後の単行本の宣伝の佐竹 美保イラストのフィリエルとルーンは、いい感じです。

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風神秘抄

最近、1番お気に入りの作家・荻原規子です。
といっても、「勾玉シリーズ」しか、読んだことないのですが。それだけで、魅了されてしまいました。
最近は、「もうひとつの空の飛び方」1なんてのも、楽しんでます。

今、文庫で「西の良き魔女」も出ていて購入していますので、読むのが楽しみです。
こっちも、オススメした人が、2日ぐらいで読んじゃったので、きっとはまると思います。

最初の「空色勾玉」から、かなりうまかったのですが、これは、勾玉3部作を書いてからかなり時間をあけてから書いているからか、さらに磨きがかかっています。

「空色勾玉」とか、「白鳥異聞」のときは、基本的に女の子視点がうまい人なんだなぁと思っていました。
でも、「薄紅天女」で、男の子も、すごくしっかりと書けることがわかりました。

そして、本作。これは、すごいです。

基本的には、男の子から見た女の子なのですが…。

男の子から見た、あこがれの女の子(謎な女の子といってもいいかも)というのを書けてる物語って、けっこうあります。
それから、女の子から見た、あこがれの女の子の書けている物語っていうのも、けっこうあります。
そして、もちろん、男の子から見た等身大の男の子の物語、女の子から見た等身大の女の子の物語というのも、あります。

でも、この「風神秘抄」は、そういうのみんなかいた上で、「あこがれの女の子」も「等身大の女の子」も、「あこがれの男の子」も「等身大の男の子」も、実は同じものだよと、かききってしまって、それを登場人物にも、読者にも気づかせてしまう(しかも、あこがれの部分をちゃんと残したまま)。
ものすごい物語です。
そして、とてもストレートな恋愛小説です。

もちろん、草十郎も、糸世も、普通の人間ではなくて、選ばれた人間なんですが、それを感じささないものがあるんですねぇ。

そして、この2人だけだったら、とっても閉じた物語になってしまったと思うのです。そこにでてくる鳥彦王。
彼が、この物語の真の主人公であるかもしれません。
鳥彦王と草十郎の掛け合いは、最初の瞬間から、めちゃくちゃおもしろい。
草十郎と糸世の物語であるのですが、草十郎と鳥彦王の成長の物語でもあると思います。

「糸世が行っていた世界」についての言及は、ちょっといらなかったかも。と思ったりもしますし、勾玉シリーズにあった神様の力みたいなおおらかさは少なくなってしまったのですが。
それでも、今までのお話になかったいろいろなものをもっていると思います。

なんとも、すごい話を書いたものです。

  1. なくなりました。 []