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弧笛のかなた

世の中には、まだまだ、面白い話書く人が、いっぱいだ~。と、思い知らされた1冊。

「守り人」シリーズが文庫になったので読み始めよう1ということで、その助走のつもりで読んだ「狐笛のかなた」なのですが、思わずはまってしまいました。

今、日本の女性作家の児童文学を何冊か読んでいます。
「西の善き魔女」「勾玉シリーズ」の荻塚 規子、「パッテリー」のあさの あつこ、「西の魔女が死んだ」の梨木 香歩。
で、荻塚 規子とあさの あつこは、子どもが読んでもちゃんと面白い児童文学をしていると思います。
でも、実は、梨木 香歩や、この上橋 菜穂子は、児童文学といいながら、子どもが読む本だとは、とても思えないのです。

それは、決して、4人を比べて、どっちが優れているとかそういう問題ではなくて、

「この切り込み方は、ある程度人生経験がないとわからないだろう」

と思わせるものが、梨木 香歩や、上橋 菜穂子にあるのです。2

「弧笛のかなた」は、ストーリーだけ追っていくと、メチャクチャ悲惨で暗い話のはずです。でも、不思議とそれは感じない。もちろん、脳天気なのではなくて、物語の1番奥のところに悲しみは流れているのですが、それでも、淡々としたそれぞれの生をかいています。

これは、上橋 菜穂子の圧倒的な文章のうまさがあって、なりたっているのだと思います。

楽しいシリーズが、これからも待っていると思うと、ちょっと幸せなりんでした。

  1. 守り人シリーズが、どんな話なのかは、まったく知りません []
  2. 好みだけの問題からいえば、わたしはきわめてマンガな荻原 規子の作品が1番自分にとってはしっくりきます。 []

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風神秘抄

最近、1番お気に入りの作家・荻原規子です。
といっても、「勾玉シリーズ」しか、読んだことないのですが。それだけで、魅了されてしまいました。
最近は、「もうひとつの空の飛び方」1なんてのも、楽しんでます。

今、文庫で「西の良き魔女」も出ていて購入していますので、読むのが楽しみです。
こっちも、オススメした人が、2日ぐらいで読んじゃったので、きっとはまると思います。

最初の「空色勾玉」から、かなりうまかったのですが、これは、勾玉3部作を書いてからかなり時間をあけてから書いているからか、さらに磨きがかかっています。

「空色勾玉」とか、「白鳥異聞」のときは、基本的に女の子視点がうまい人なんだなぁと思っていました。
でも、「薄紅天女」で、男の子も、すごくしっかりと書けることがわかりました。

そして、本作。これは、すごいです。

基本的には、男の子から見た女の子なのですが…。

男の子から見た、あこがれの女の子(謎な女の子といってもいいかも)というのを書けてる物語って、けっこうあります。
それから、女の子から見た、あこがれの女の子の書けている物語っていうのも、けっこうあります。
そして、もちろん、男の子から見た等身大の男の子の物語、女の子から見た等身大の女の子の物語というのも、あります。

でも、この「風神秘抄」は、そういうのみんなかいた上で、「あこがれの女の子」も「等身大の女の子」も、「あこがれの男の子」も「等身大の男の子」も、実は同じものだよと、かききってしまって、それを登場人物にも、読者にも気づかせてしまう(しかも、あこがれの部分をちゃんと残したまま)。
ものすごい物語です。
そして、とてもストレートな恋愛小説です。

もちろん、草十郎も、糸世も、普通の人間ではなくて、選ばれた人間なんですが、それを感じささないものがあるんですねぇ。

そして、この2人だけだったら、とっても閉じた物語になってしまったと思うのです。そこにでてくる鳥彦王。
彼が、この物語の真の主人公であるかもしれません。
鳥彦王と草十郎の掛け合いは、最初の瞬間から、めちゃくちゃおもしろい。
草十郎と糸世の物語であるのですが、草十郎と鳥彦王の成長の物語でもあると思います。

「糸世が行っていた世界」についての言及は、ちょっといらなかったかも。と思ったりもしますし、勾玉シリーズにあった神様の力みたいなおおらかさは少なくなってしまったのですが。
それでも、今までのお話になかったいろいろなものをもっていると思います。

なんとも、すごい話を書いたものです。

  1. なくなりました。 []