支配されないことの意味

水樹和佳子,読書

イティハーサ1

再読です。
こうやって、時間をおいてから読むと以前は理解できなかったことがよく見えてきます。

たとえば、この話がかなり細部まで作りこまれたうえでかかれたものだということは、もちろん以前も感じていたのだろうけど、こうして物語を知ったうえで読むと「ここまで考えられていたのか」というところがたくさんあります。

たとえば、鷹野の感じているトウコを威神に連れて行かれてしまう不安や、トウコの感じているもう一人の自分に対する不安などは、最初に読んだときは、1人の人間のなかにある二面性みたいなものを示すために出てきているのかなぁと思ったりしていました。
でも、実際に読み進めていくにつれて、実は、それが形をもったものであるということがわかっていきます。

また、桂の弟の話とかも、以前は、出てきたときにはすっかりその伏線を忘れていて(笑)、

「なんで、こいつが桂の弟なんだろう……」

とか思ってましたが、ちゃんと、こんなにも前にフリがあったのですね(笑)

以前は、ファンタジーとして読んでいたのですが、今回こうして改めて読んで見ると、これもまた「百億の昼と千億の夜」みたいな壮大なSFなんだなぁということがよくわかります。
すべてが、あのラストに向かって収束していくようすが、とってもよく見えます。