ここには、思春期の全てがある~もしくは、はじめてのチュウ

松岡佑子,読書,J・K・ローリング

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 下

後半も、凄い話です。

幸せの絶頂と不幸のどん底が、交互にハリーを襲います。そこにあるのは、「選ばれたる者の恍惚と不安」。

そして、ハリーの父親とスネイプの過去が少しだけあきらかになります。
まさか、こんな過去だとは思いませんでした。ローリングは、ものすごく残酷で、平等に人に描いていきます。

教師たちや、大臣も、理想的な人間ではあり得ない。ダンブルドアトですら情のために間違えを犯す。それを暴いていきます。

その平等な目は、ハリー自身にも注がれているのがわかります。

たしかに、彼は、いろいろな意味で特別扱いをされています。それが、はじめの「賢者の石」や、「秘密の部屋」のときは、鼻についてイヤだったのですが、今の彼は、たしかにその評価に値する人間に思えてきます。

もちろん、性格は、けっこうイヤなやつなんですけどね。でも、修羅場をくぐり抜けてきた分、貫禄がでてきた気がします。

あと、今回の話は、ミネルバが大活躍でした。今までも、わたしのまわりにはファンが多かったのですが、わたしも今回の活躍でファンになりましたねぇ。

思春期の葛藤が、これでもかとかかれている今回の「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」でした。
登場人物が、少年期から、確実に青年期に向かって成長している。成長が見える希有なシリーズです。
次回は、まだ葛藤を引きずるのか?それとも、青年期として自立していくのか?

楽しみです。

「ブクログ」のレビューは、ネタバレがいっぱいですので、読んだ後で見ることをオススメします。