紫の結び1 源氏物語
「源氏物語」のメインストーリーだけを抜き出した物語で、ものすごく読みやすいです。
ある意味、今まで1番読みやすかった「あさきゆめみし」よりも、読みやすいかも。
源氏物語には、作者複数説があって、特に、前半部と後半の宇治十帖の物語のことをいわれることが多いのですが、実は、前半部だけでも、「藤壺」-「葵の君」-「紫の上」-「朧月夜」-「明石の君」-「女三の宮」の貴種流離譚ラインと「空蝉」-「夕顔」-「玉鬘」の中の品の女ラインのお話で、作者が違うのではないかといわれたりしているようです。
まぁ、作者が違うかどうかはわからないのですが、多分、書かれた順番は、メインの貴種流離譚ラインが書かれてから、サブの中の品の女ラインの話が書かれたのは、確かなような気がします。
サブの話は、
「もっともっと源氏の話を聞きたい」
という声に応えて書かれた外伝みたいなものではないかと思っています。
で、これは、そのメインのラインだけを書いていて、物語としてものすごく読みやすく、ストーリーの一貫性もあるのです。
紫の上と源氏が出会うあのものすごく印象的なシーンは、たしかに、物語のこれぐらい前半部にあるべきだと思います。
というか、今回、読んでて、「若紫」が物語のはじまりだったんじゃなかろうかとすら思ったりしました。
まあでも、誰に向けて書かれているのだろうというのは、謎ではありますね。
この本を読んでもらいたいと思っている年齢層って、いくつぐらいなんだろう。
中学生以上出ないとつらいし、ほのめかしとか考えると、高校以上かなぁという気がします。
この書き方で、メインラインを書いた後、サブのラインや、宇治十帖も、荻原 規子に書いて欲しいとちょっと思った。
俵万智の「愛する源氏物語」以来、宇治十帖が好きなのです。