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バルバラ異界1

えーと、「残酷な神が支配する」から後、この「バルバラ異界」は、購入はしていたけれど、ずっと未読のままでした。
まあ、1番の理由は、萩尾 望都は、読むのに体力と根性がいるからなのでした。
そのくせ、泥沼のように(?)一気に読ませようとするからねぇ。そして、一気に読みたいたぐいのお話だし。

ということで、夏で仕事も一段落した今の体力のある時期に、読んで置こうということで読み始めました。

えーと、凄い。

これは、あんまりにも陳腐な表現ですねぇ。

前作の「残酷な神が支配する」は、リアルな理解しやすい物語だったと思います。まあ、劇的なドラマの連続が、リアルといっていいのかどうかという問題はありますが。
エンターテイメントと人物の心の動きを両方バランス良くかいた物語でした。

それ以前の物語は、どっちかというとSF以外は、心理面にウェイトがおかれていたと思います1

それが、変化してきたのが、多分わたしは、「あぶない丘の家」あたりだった気がします。
この作品は、日本舞台で、エンターテイメントで、登場人物がどう見たって日本人に見えなくて、でも面白くて、いろんな意味で「凄い」作品でした。
萩尾 望都のターニングポイントだったかも。
でも、ウケたかどうかはわからないので、

それから、一連のバレエシリーズがあったのかな。バレエシリーズあたりは、そのまま「残酷な神が支配する」の流れに続いている気がします。
短編なので、あれほどドラマチックではないけれど。

で、今回の「バルバラ異界」なのですが、近未来設定のSFです。そして、舞台は、日本です。
そうなんか、「あぶない丘の家」の流れを感じる。

というよりも、萩尾 望都の今までの作品の総決算な感じがします。

全4巻。
どんな話になっていくんでしょう?

  1. もちろん、SFで心理面にウェイトがおかれていないというわけではなくて、SFはそれでもストーリーが前面に出ていた気がします。 []

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星虫

「プロローグ」を読んで、しばらく日を置いて。
一章を読み出したら、毎日一章ずつ。
でも、6日目だけは、止まらずに一気に「エピローグ」まで。

あぁ、十数年前も、確かこんな読み方で、この物語を読んだなぁと。

ジュブナイル小説は、眉村卓の学園SFシリーズとか、筒井康隆の「時をかける少女」なんかを読んでいたのですが、あのあたりは、どっちかというと、大人が書いた子ども向きの小説みたいな感じがありました。

「星虫」は、そんななかで、なんというか、大人ではない人が書いた「切実さ」みたいなものがあったのが、印象に残っていました。
だから、ものすごくおもしろかった覚えがあります。

今、こうやって読んでみても、おもしろさはやっぱり変わっていません。
ただ、自分のなかの「切実さ」は、確実に年とともに減ってきている気がします。

そして、この物語のいろんな荒さも、ちょっとみえる気がします。
例えば、友美と秋緒の関係。いつの間に、秋緒は、あんなに友美のことを認めたんだというところとか…。

それでも、充分におもしろく、ストーリーを知っているにもかかわらず、ドキドキしました。

あの時代の自分の感受性は、やっぱり、今より敏感だったようです。
メガネの女の子が、星虫をとってしまって、泣き崩れてしまうシーンがあったのですが、このシーン、星虫が落ちた瞬間に、女の子の視力がガタッと落ちた(元にもどった)という描写があったはずだと記憶していたのですが、まったくの記憶違いでした。
気になって、元の新潮社版の方を見てみても、同じ描写でした。
むかしは、わたしもそういう書いてないところまで想像して、読んでたんだなぁということ、今は、けっこう考えずに、感じずに読んでるところがあるなぁと、よくわかりました。
まあ、だからといって、あの時みたいな読み方に戻れるわけではないんですけどね。
それはそれで、辛いことも多いので、わたしは、今の感性も好きです(笑)

まあ、もっとも、もうすでに1冊持っている本ですから、普通は、これだけでは、購入して読もうとは思わなかったはずです。

買ったのは、「イーシャの船」が、続けて刊行されたからです。

「星虫」は、「おもしろい」。だけど、「イーシャの船」は、「好き」なのです。

岩本 隆雄
朝日ソノラマ
発売日:2000-06
 

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透明人間 江戸川乱歩全集16

透明怪人

「よんじゅうめんそう」ではなくて、「しじゅうめんそう」なのだよ。

いやぁ。「幻の女」なみに強引なトリックだ。
しかもなんか、まだとけていない謎もあるような……。

しかし、敵は二十面相以外にいないのだろうか。

怪奇四十面相

ポストと本の背表紙は、素晴らしい。
ブラボーー!!と笑ってしまいました。

これは、王道っぽいお話でいいですね。
まあ、小林少年が活躍する分、二十面相というか四十面相の方は、だいぶん間抜けになっていますが。

しかし、髑髏な人たちは、なんであんな格好をしていたのか……謎だ(笑)

宇宙怪人

はじめのうちは、SFだったらどうしようと、ドキドキしました。
なんせ、全世界規模のスケールですから。

犯人は、あいつだろうと思いつつ……どうやって説明するんだろうかと、ちょっと心配までしてしまった。

しかし、このテーマは、けっこうすごいですよ。この時代から、このテーマってあったんですねぇ。

ふぅ・うぉっち・ざ・うぉっちまん?

畸形の天女

これは、続きがよみたいなぁと感じさせられる一編です。
リレー小説は、多分、1番最初を書くのが、1番楽な気がします。

タイトルも、惹かれます。

女狐

うーん。
こっちより、「畸形の天女」の方が好みです。

やっぱり、基本的にミステリー向きな読者じゃないな。わたしは。

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素子の読書あらかると

いいわ。新井素子すごい読者。スーパー読者(笑)

わたしも、自分では、それなりだと思っていますが、生活のほとんどが「それ」な人には、立ち向かえません。

ミステリーは、どうしても守備範囲になってしまいますが、けっこう読みたい気持ちにさせるのは、江戸川乱歩のエッセイと一緒です。

どっちかというと、もっと、SFとか、ファンタジーまわりのことをやってほしいです。

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タフの方舟1 禍つ星

ジョージ・R・R・マーティンというと、ゲームでもファンタジー小説でもけっこう有名な「七王国の玉座」の人です。

まだゲームの「七王国の玉座」もやったこともなく、小説「七王国の玉座」も読んだことがないのですが、わたし、この人、知ってます。
創元推理文庫のSFシリーズからでていた「ワイルド・カード」シリーズのまとめ役の人ですね。

「ワイルド・カード」を読んでいた頃は、ちょうど、「X-MEN」とかアメコミにはまっている頃((実は、今も読みたいと思っているのですが、小学館プロダクションがアメコミから手を引いてからは、物理的に無理なんですよねぇ…。JIVE高いし、売ってないし…))でして、この小説で読めるアメコミが、わたしは、めっちゃ好きだったのです。

まあ、「ワイルド・カード」は、シェアワールドもので、いろんな人が書いていて、人によってできも違って、ジョージ・R・R・マーティンは、なん、盛り上がる話よりも、まとめのような話ばっかり書いていたと記憶していますが…。

さて、今回の「タフの方舟」です。

第1話は、どうやって、タフが方舟を手を手に入れたのかというお話でした。
これを読んだときは、イマイチでした。
なーんか、悪いヤツばっかりで、いやなかんじのお話なんですよ。
それから、短編連作っていう感じなんですが、1話1話、章わけが何にもないんですね。わたしは、割と小刻みに切って本を読んでいく人なので、キリのいいところがない小説というのは、けっこう読みにくい…。
うーん、30ページぐらいで1区切りあるのが読みやすいんですよ。

なんとなく、先も読めてるし……。
プロローグから、もっと、ホラーっぽい話を期待していたら、なんと、アクション映画だったという感じです……。

タフの性格も、なんかつかみ所がない。

と思って、2話目の「パンと魚」に進んだのですが、これは、メッチャ面白かったです。

トリー・ミューンという姉御が、かっこいいんだ。これが。

人口爆発を起こしている惑星。そこに、タフが行って、初仕事というお話です。
どうも、あとがきを読むと、この惑星のお話が、メイン・ストリームで、1話とかは、あとから付け足しの話のようです。

うーむ。こうやって、シリーズが書かれた順じゃなくて、時代順に並べられることって、よくあるんだけど、あんまりこれが成功しているとはいえないなぁ。

成功してない例で悪いけど、

「風の大陸」
「エルリック・サーガ」
「ポーの一族」

なんかも、やっぱり、書かれた順で読んだ方がおもしろいと思うのです。

「あのキャラクターの過去」とか、「あのキャラクターたちの出合い」だから、面白い話も、いきなりしらんキャラがでてきても、楽しめないのです。

その点、レンズマンは、偉いなぁ。今までさりげなく(あれは全然さり気なくないか?)触れられていた過去が、詳しく語られていくというのは、楽しいです。

なんか、関係ない話になってきたな(笑)

えーと、タフは、ネコを飼っていて、そのネコたちが、けっこう無味乾燥なタフに彩りをあたえてくれていると思います。
それから、タフは、なんか、悪辣で、無礼な人間みたいに書かれているのですが、実は、まあ、自分の良心に乗っ取って行動しているということで、けっこういい人のようです。

ただし、いい人が、いつも正しい選択ができるとは限らないです…。
特に、タフみたいに、メチャクチャな力を持ってしまっている場合は…。

そのへんの議論は、「パンと魚」のなかで、トリー・ミューンとタフがやっています。
まあ、今のところ、タフは、失敗なしなのかなぁ。このあたりは、まあ、疑問が残るところではありますが。
素人だしね。メチャクチャな力が、思いもかけない悲劇を引き起こすことも、やっぱりあると思うんですよ。

でも、そういうことをひっくるめて、それほどあまくわないけど、けっこう作者は、人間を信じているところがあるなぁと思います。

ただし、これって、たくさんの人口を養えるようになったけど、本質的に、解決になってないんですよねぇ。

まだ、続きがあるようなので、どうなるのか楽しみです。

あと、トリー・ミューンが、どうなるかも、気になっています。
はじめは、ネコを嫌っていた彼女が、虜になっていくところも、けっこうネコ好きには読ませるところです。

ネコ好きに、悪い人はいないと思います。