田辺聖子,読書ジョゼと虎と魚たち,リアル,映画,角川文庫,,鬼の女房,KADOKAWA

ジョゼと虎と魚たち

昔、実写映画してたときにポスターを見たことがあって、ちょっと興味があったのです。
で、アニメ映画がつくられたということで予告編とか見て、惹かれて、映画を見に行きました。

この本を買ったのは、映画を見に行くちょっと前かな。本屋で見かけたときに、「えっ、短編なんだ」とちょっとビックリして購入しました。

映画は、甘いお話だといえばそうなんですが、とてもよくできたわたしは好きなお話でした。
絵本のあたりの伏線の回収具合とかは、本当に良くできていた。

でまあ、あんな感じのお話を期待して読んだのですが、全然、雰囲気はちがいますねぇ。

でも、これはこれで、なんか凄いいい肌触りで良かったです。

基本、田辺 聖子というと、おっちゃんおばちゃん小説なイメージが。ウチの父が好きだったんですよ。昔、このサイトで父の追悼文のつもりで「鬼の女房」の感想も書きました。なんと、サイト吹っ飛び事件のせいで、なくなっちゃったのですが。

で、この本の短編集も、イメージ、おっちゃん、おばちゃんのイメージでした。映画みたいに、若々しい感じはあんまりない(笑)
そして、もともと、おっちゃんおばちゃんぽかったわたしが、リアルなおっちゃんおばちゃんになっていますので、まあ、おもしろくないわけがないという。

ジョゼは、わたしのなかでは映画のビジュアルイメージに若干ひっぱられていますが、恒夫なんて、おっちゃんです(笑)
そして、この時代から、ツンデレって、ちゃんとあったんだという。

なんだろう。どの小説も毒がないわけではない。でも、ものすごくおっとりしているというか、上品(?)な感じがするんですよねぇ。悪意が表面にでてこない。諦観している感じなんでしょうか。それがすごく気持ちいいのです。
なんでだろう。関西弁のせいかもしれないです。

特に、「ジョゼと虎と魚たち」のラスト1ページの言葉は、ものすごい衝撃的。衝撃的なくせに、全然、激しい言葉ではなくて。
田辺 聖子、つくづく、凄い小説書きだなぁと思いました。