帰れない ふたり 海街diary4
昔の吉田 秋生って、絵が安定しない人だったんですよねぇ。
でも、最近は、凄いです。
特に、このお話の4人姉妹。
ものすごく個性的な4人姉妹の物語なのですが、なにかの弾みで、ふっと「やっぱり兄弟だなぁ」と似ている絵があって、ドキっとします。
さちとすずが似ているのは設定的にもそうなんだろうと思うのですが、これが、よっちゃんや、チカも、あっ、似ていると感じるときがあって、それがよいなぁ。
なんか、スローペースな感じが好きです。
日常って、こうやって動いていくんだよな~という感じ。
四姉妹それぞれの恋愛模様であったり、緩やかに変わっていく環境や、人間関係であったり。
そのなかで、正解はわからないけど、手探りで、まじめに進んでいく。それが大事。
そして、この本読むの2回目。あれれ?
巧い。
この物語をつくっていく巧さは、昔からあったのだけれども、「ラヴァーズ・キス」あたりから、どんどんレベルアップしています。
そして、嫌みじゃないんですよねぇ。
恋の終わりと、いくつかの種をまいて…という感じで、続いていきます。
海街diaryの番外編というか、鎌倉の観光ガイドです。
長崎に行ったときにも感じたのですが、鎌倉とか、長崎とか、観光とそこに住んでいる人の生活が、自然に一体化している町というのは、なんとも不思議な雰囲気があるなぁと思いました。
住めば決して、「便利」な町ではないんだろうなぁと思うのですが、「ずっとここで、生活していきたい」と思わせるものが、どこにあります。
どこかその不便なところをひっくるめて、魅力的なんだろうなぁと思います。
微妙なすれ違いとか、行き違いとか、恋愛でもあるんだけれど、別に恋愛でなくてもあるそういう感情とか、関係とかをかかせたら、天下一品ですね。
それをかくためには、微妙な表情のかき分けとかが出来ないといけないのです。
「櫻の園」の頃の吉田 秋生は、まだ、その微妙な表情をかくのをさけていた気がするのですが1、このお話の中では、すごくはっきりとかいています。
ものすごく大きくてはっきりとした事件はないのだけれど、普段、人間って、たしかにこんな風に揺れ動いているんだよなあと思わせる物語です。
真昼の月をみんな知らないって、ビックリしました。
小学校ぐらいかなぁ、はじめて見たのは。