蜘蛛の紋様2 パーム31
けっこう、怒濤の展開だった1巻から見てみると、淡々とすすんでいる感じの2巻です。
それでも、この物語のもつ重さとか、深さとかは、淡々と進んでいても、変わらないものがあります。
てっきり、物語としては、カーターの一族のお話が中心だと思っていましたが、ジェームスのお話もクロスしています。
2人の出会いぐらいまでがかかれるのでしょうか。
パームは、わたしにとって他の物語とはちょっと違うところにある物語です。読めることにしあわせを感じられる物語って、そんなにない。
これがまた、わたしがこんなに好きな物語にもかかわらず、割と気の合うはずの周りの物語読みは、あんまり読んでいないというか、共感を得られないというのも、不思議な感じです。
多分、1~2巻読んだ時点で、評価を下してしまっているんだろうなぁと思います。あの頃は、絵もかなり硬質だし、お話もたしかにスムーズでない感じがします。でも、もう少し読んでいけば、はまると思うのですが……。
しかし、20年。掲載誌の「Wings」自体も、大きく変わりました。知っている人、本当にいなくなってしまいましたもんね。そんななかで、変わらずにパームが載るというのは、本当に奇跡みたいなことだと思います。
いつからだろう?こんなにはまったのは。多分、「愛でなく」あたりからだとは思うのですが。
そして、最後の長編「蜘蛛の紋様」がスタートしました。
カーターの一族の物語。
ページをめくって、ビックリしました。いきなり、字、字、字。
一族の物語は、全部、字ですまして、カーターの物語として「蜘蛛の紋様」は語られようとしているようです。
多分、物語のどこかで、情報として与えられたものもあるのですが、こうして物語として目の当たりにすると、その圧倒的な力に呆然としてしまいます。
若い日のカーターが言う。
「人生は残酷で苦痛に満ちている」
と。
その言葉のなんと重たいことか。
そして、わたしたちは、そこから立ち直っていくカーターを知っています。レイフの言葉通り、「本当の幸福を知る人間になる」ことが、この物語の終着点なのでしょうか?
ほんとうは、「愛でなく」ばりの長編になってほしいなぁと思っています。
でも、どれだけ語っても、語り尽くすことはできないのかもしれません。
人生は、物語ではないのだから。
最後の探偵編。
これから、4年後に物語は終わる。それは、多分、決定されたこと。
ジェームズは、4年後の終わりを見据えて物事を動かしているところがある気がします。だから、「ジェームズ・ブライアンの真実」は、彼が生きている間に処理をしなければならなかった。
でも、そう考えると、彼がジョイを受け入れる気になったことの理由は、わたしには見えないのですが。「終わり」よりも先が、彼には見えているのかもしれません。
いつ終わっても、老いても若くても、それは蜜月旅行のうちに終わってしまうということなのでしょうか。
「蜘蛛の文様」は、過去編になるそうです。そうすると、「TASK」で4年の時間が過ぎるか?
なんとなく、何年かすぎた後の舞台が「TASK」という気もします。
はやく続きが読みたいな様な、終わって欲しくないような。
そんな物語です。