多重人格探偵サイコ10
自分の存在が、だれかのスペアだったら?
それって、大塚 英志が、さんざんマダラでやってきたことだなぁ。
そして、魂さえが、フロッピー1枚で人から人へ移動したりする。
人は、人のどこを見て、その人だと認識するのでしょう?
この人の文章につきあうのも、本当に長いです。
昔、この人が雑誌編集長で大塚某と名乗っていたころから知っていて、マンガの批評を読んで、「摩陀羅」などのコミック、そして、小説。ほとんどを網羅できていると思います。
まぁ、おたく的資質というやつでしょう。でも、かしこくないので、おたくにはなれないという。
ということで、この本も、角川のスニーカー文庫を読んだあとの再読になります。
この人の書く物語を見ていると、だれに自分を託しているかとってもよくわかります。
たとえば、この物語ではそれは笹山さんだし、「摩陀羅」では犬彦綬蛇矢がそれにあたりますね。
かなり斜にかまえているんだけど、他人がいとしくていとしくてしかたないんだなぁ。だから、自分だけが、そんな役回りをしてしまう。
自分の「モラル」を通していこうとすれば、どうしても、世界とは相容れなくなっていく。
どっちの話も、周りの人間がかなり自分勝手なだけによけいにそうなってしまいます。
そのあたりに心情をたくせるか、ただ悲惨で非情な物語の表面だけをうけとめるか、悲惨さ非情さを大喜びするかで、この物語の受け取り方も変わってくるような気がします。
摩陀羅天使篇を終わりまで読みたいなぁ。