吸血姫美夕 朔2
懐かしい顔も出てくるのね。
今までのお話と、どれぐらいクロスしていくのかなぁ。
繋がっていて欲しいというのが、マニア心なのですが、お話の完成度としては繋がっていない方が高くなる気がします。
小説版の美夕は、ハードカバーのやつが、京都が舞台で好きでした。
今回、それのソフトカバー版かなと思っていたのですが、全然、違いました。
早見 裕司は、昔、アニメージュ文庫で、小説版の「ガイバー」とか、「夏街道」とか書いていた人ですね。けっこう好きだった思い出があるのだが……今は、家にはないですねぇ。
わりと、自分の解釈で物語を自分の方に引き寄せて書いてしまう人です。
それが、ある意味、他の「美夕」のシリーズとは、違和感になっているかも。
でも、それなりに「うまい」小説で、けっこう読ませます。
どっちかというと、「西武新宿駅午前5時」みたいに、美夕から思いっきりひいて書いたものの方が、おもしろい感じです。
いよいよ、小夜の正体と過去があきらかに。
わりと、今までの吸血鬼ヒーローものって、本人の生い立ちについては、あんまり陰惨な感じをさせない路線が多かったと思うのですが、なかなかに、酷い過去です。
小夜とハジの関係とかは、これはもう、もろに「吸血姫美夕」あたりをどうしても、イメージしてしまうのですが。
しかし、サヤとディーヴァ。
多分、本質的な違いというのはなくて、育ち方が違っただけという感じなんでしょうね。
ましてや、ハジが、小夜にひと目ぼれしたのなら、もしディーヴァに先にあっていたら……とか思ってしまいます。
そのあたりのやり切れなさは、今までの吸血鬼ヒーローものとは、ちょっと違ったものになっています。
この物語が、この生すらも肯定して終われたとしたら、ものすごい名作になるかもしれません。