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栗本薫・中島梓傑作電子全集3 ぼくらの時代

ぼくらの時代

まあ、わたしらよりも1世代上の人たちの青春である「ぼくらの時代」です。
多分、わたしらは、「ぼくらの時代」よりも、「グイン・サーガ」から栗本 薫に入ったのではないかと思います。もしかすると、「トワイライト・サーガ」からかもしれない。
おそらく、「ぼくらの時代」をはじめて読んだのは、中学生ぐらいのときかなぁ。

でも、一世代上といいつつ、小学生時代から従姉の影響もあり、少女マンガなんかをよく読んでいたわたしとしては、良くわかる話だなぁというか、同世代の空気や雰囲気は、感じていたような気がします。
まあ、ねぇさんのと気があったり、話があったりするのは、この辺の教養のおかげです。

多分、これ小説読む前に、雑誌にのったマンガを読んでいるんですよ。そこで、

「笑ったね、悪党ども」

という名セリフも読んでいたし、トリックもしっていました。

いや、本当にそんなマンガがあったかどうかは、確かめようがないのですが、たしかに、このテンポや会話、知ってると感じながら読んでました。

なんだろう。なかにめちゃくちゃウェットなものを含んでいるくせに、やっていることはものすごくドライというこの感じは、まさに時代だよねぇとしかいえないです。
その頃のわたしの行っていた中学は荒れていて、そういう雰囲気ともフィットしていました。

その時の「空気」が、わからない人にとっては、全然、理解できないのではないかと思いつつ、その時の「空気」をものすごく正確に切り取っているという意味では、やっぱり、名作なんだと思います。

文体は、かなり計算されていてあざといと思います。まあ、そこを含めての空気かな。

ぼくらの気持ち

少女マンガ家たちの世界が舞台という以外は、案外覚えていないものです。

まあ、覚えていたのは、ヤスが就職した。ダーティペアが出てきた。みたいなことだけ。
薫くんの恋とか、どんな推理があったかとかは、さっぱりです。

ああでも、名探偵の謎解きのない推理小説なんてつまらないというのは、覚えていた。というか、ここで読んだのか。どっかで聞いたセリフだと思ったけれど、この本だとは思わなかった。

時代は、やおい華やかりし頃。で、けっこう、その世界の大御所の割には、辛辣です。
まあ、「ぼくら」シリーズは、他人から受け入れられるために書かれている小説なので、まあ、そういう書き方になるかというのもわからないでもない。多分、前回読んだときには、そんな辛辣さは、わたし自身もそんなに気にはならなかったので、時代がかわったというのもあるかもしれない。

でもなぁ、自らのバンドに「ポーの一族」ってつけている薫くんが、そこまで、やおいを嫌うかというのは、ちょっとあります。まあ、そういうポーズをしていないと、何をいわれるのかわかったもんじゃない時代でもあったんだと思うけれど。
そして、薫くんが、その時代を映す鏡としてのキャラクターだとしたら、そういう反応しかありえないのだともおもうのだけれども……。ちょっと、もやっとする感じではあります。

「猫目石」で、薫くんが恋する話を覚えていて、あぁ、でもこのキャラクターの女の子の好みというのは、ものすごく一貫しているんだなぁと、それは、今回あらためて読んで見て、ものすごく思いました。

ぼくらの世界

ぼくらシリーズって、3人組が一人一人離れていく話なんだなぁと。
「ぼくらの気持ち」ヤスが離れて。「ぼくらの世界」では、ほぼ薫くん1人の物語と言ってもいいと思います。

そういう変化と、感じなくてもいいぐらいの自分を持っているはずなのに、時代の空気というを感じずにはいられない作者の栗本 薫との葛藤があるみたいで、あとがきがちょっと切なくて楽しかったです。

シャーロック・ホームズ賞を巡る事件ですが、甲野乙骨が、格好いいよねぇ。
あと、ダーティペアのケイちゃんは、結婚したんだとビックリした。

猫目石

栗本 薫VS伊集院 大介。
といっても、そんなに戦っている訳ではなくて、はじめっから大介は薫くんのサポートにまわっている感じです。

これも、読んだことあるはずなんですが、ラスト以外はまったく覚えていませんでしたねぇ。
でも、この「伊集院大介はまちがっていた。」というラストは強烈で、めちゃくちゃ覚えていました。
そして、このラストだけで、後世に残っていい名作だと、読んだときには思ったのでした。
あいかわらずミステリーに向いていないわたしの脳みそは、あれ、なんで薫くん、一条に襲われたんだっけ?とか、すでに、記憶障害を起こしていますが。

で、今回、ラストも知った上で読んで、ちょっとゾッとしたのは、日美子の予言って、けっこう当たっていますよねぇ。ものすごい悪意をいれこんでいたのね、栗本 薫。

怒りをこめてふりかえれ

「猫目石」後の栗本 薫。
これ、なんでかラストシーンだけしっていたのですが、こういう話だったのか。

薫くんの話すときの一人称が「おれ」になっていたり、けっこう気の弱い女の子に手を上げていたりして、ちょっと薫くんというキャラクターに、違和感が……。
まあ、薫くんも、年をとったということなんでしょうけどねぇ。

あと、けっこう中盤まで殺人事件もなにも起こらなくて、これはもしかして、推理小説じゃないのかもしれないと思ったりしました。ラストに伊集院大介が出てくるのはしっていたけど、まあ、友情出演的なものかなぁと思っていました。

えーと、途中、犯人側に女の影が見えるのですが、「あれ、女ってこの話に出て来たっけ?」と、みごと欺されました。というか、まったく、記憶に残っていなかったよ、その人状態でした。

これで、長編での栗本 薫の物語は、完結したかんじなのかなぁ。

公園通り探偵団

これ読んだことあると思っていたら、新潮社からでている「十二ヶ月」の1作ですね。
こういう、オーソドックスな短編を書かせると、栗本 薫は、絶品だと思います。
長編は、特にハードボイルドは、ラストがいまいちなのが多いからねぇ。

ぼくらの事情

ヤスとは出会ってるけど、信とは出会ってないよね?

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百鬼夜行抄12

話が複雑になってきて、それにともなって律の物語への関わり方がちょっとワンポイント的になってくると、途端に難しくなってストーリーが追えなくなってしまいます。
つくづく、ミステリー脳ではないなぁと。

割と因縁のある家は、飯綱家だけではないですね。

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応天の門1

消えたので、書き直し感想です。

なんか、夢枕漠の「陰陽師」を読んでいるような雰囲気です。バディ物だしねぇ。
でも、不思議なことが起こるわけでない、なんだろう、ジャンルとしてはミステリーかな。

ちよっと、読みたいけど手を出していなかったのですが、Kindleで安売りしていたので購入。これは、買って良かった。

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探偵小説四十年 上 江戸川乱歩全集28

さて、いよいよ、江戸川乱歩全集もこの「探偵小説四十年」の上下巻をもって終了です。
2018年中は無理でも、2019年には読み終えられそうです。

どんな知識でも、知識があるっておもしろいって事だなぁと思います。わたしが、オタクに憧れるのも、そういうおもしろさです。
むかし、植物博士と呼ばれる人と、山を一緒にあるいたことがあります。その人が、ものすごくいろんなことを説明してくれて、見えている世界が、まったくわたしの何倍もあることに気づかされたことがあります。そして、その人が見えている世界を教えてもらうだけで、自分の視野も広がってめちゃくちゃ楽しい。
もちろん、その広がった視野は、その人がいなくなったら、あったいう間に元に戻っちゃうのですが、それでも、その話を聞いている時間というのは、やっぱりいいものです。

で、この本。
江戸川 乱歩が、日本のミステリーの歴史について話しているんだから、もう、おもしろいに決まっています。
本当に、今も生きていて、栗本 薫や、京極 夏彦のことをどんな風に語ったかとか、聞きたいです。

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陰獣 江戸川乱歩全集3

さて、2003年から読み続けてきている「江戸川乱歩全集」も、残すところあと2冊。「探偵小説四十年」の上下巻でおしまいになります。
長かったと思うのですが、全部、読んでこれたというのは、やっぱり江戸川 乱歩が、とてつもなく面白かったのだと思います。

「陰獣」と「芋虫」が、この本の中では良い感じですね。普通な評価ですな。そういうものです(笑)

「陰獣」は、最後、ぼかしてあるとこが批判されているみたいだけど、アレはもっと深読みするんだ。わたしは、真犯人がきっと別にいて、それを分からなくするためにあの小説が書かれたのだと思っています。つまり、春泥の本当の正体は……。
そして、それを暴けという、乱歩からの挑戦なのです。
だから、あのラストの思わせぶりな言葉があるんだよ~と、信じています。

「芋虫」は、話自体は知っていたけど、読んだのは初めてです。ミステリーでも何でもないじゃんと思いながら、けっこう、想像していたほど陰惨な印象はなかったです。
どうなんだろう。今なら、書くことも、発表することも出来ないのかなぁ。

それはそれで、難しい時代だと思ってしまいます。