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鏡の国のアリス 広瀬正・小説全集4

中・短編集です。

表題作のオチは、「ツィス」と「エロス」を足した様な感じです。

でも、この小説のおもしろさは、鏡に関するウンチクにある気がします。
途中から、さっぱり、理解できなくなるのですが、でも、そういう、ウンチクを聞くのは好きです。

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星の時計のLiddell2

夢の世界の女の子リデルですが、わしはなぜか、名字がリデルで、名前はアリスなのだと思っていました。

アリス・リデル。ドジスン教授のアリスは、本当は、挿絵のような金髪の少女ではなくて、黒髪のおかっぱの少女だったようです。

今回、読み返してみると、どうやら名前がリデルみたいですねぇ。関係ないのかな?
でも、LIddellは、リデルとも、リドルとも訳されています。
だから、もしかするとリデルのイメージは、これもまた別世界の物語である「鏡の国のアリス」のアリスのイメージがあったのかもしれません。

すると、ヒューとリデルの関係は、ドジスン教授とアリスの関係とダブるのか?
ドジスン教授は30歳のときに、当時13歳だったアリスにプロポーズしたという伝説が、まことしやかに語られています。

では、ヒューも、リデルに恋をしていたのか?

ヒューは30歳ではないし、リデルも夢の中で13歳よりは、もう少し娘らしく成長しています。

また、ヒュー自身が語っているように、彼は人に傾倒する人間ではありません。
思いは、家の方に向いている?

どうしても、あの家にたどりつかなけばならないと思ったのは、リデルが、助けを求めたから。
そして、多分なのですが、彼は助けを求められたら、それが誰であれ、その助けが彼に向けられたものである限り、行かなければならないと思うような人物なのではないでしょうか?

そう考えると、それは、やっぱり簡単に恋愛感情とか、そういうものでは語れないようです。

もっとも、実は、ドジスン教授がアリスにプロポーズしたという話は、いろいろな真面目な研究の結果、今では、デタラメであるということが、わかっています。
でも、世間に一度流布したウワサというのは、なかなか、消せないものです。

内田善美は、なんとなくそんな話すら知っていて、リデルの名前を使った様な気もします。
なによりも、「鏡の国のアリス」というのは、何とか時間を止めようとする話ですから。