化物語9
「こよみヴァンプ」、良い感じの滑り出し。
大分、暦のキャラがブレているような、ブレていないような。
でも、あそこでもどっちゃう暦は、やっぱり好きだなぁと思います。
メメが格好良すぎで、もう、暦主人公でなくて、メメ主人公でいいんでないかと思います。「天上天下」の文七を思い出す。
西洋哲学編は、それぞれの哲人たちの結びつきが今一つ弱くて、全体の物語として弱かったのですが、この本は、一つの大きな物語としてもおもしろいです。
東洋哲学のすごさ、そして、その胡散臭さがどこからくるのか、これほどわかりやすく書かれた本はないと思います。
しかし、心理学のことを知れば知るほど、自分がそれによって救われにくくなるのと同じように、東洋哲学も、仕組みを知れば知るほど、その伝えようとする真理からは遠ざかっていくというジレンマ。
このジレンマがあるから、東洋哲学というのは、ある程度ぼかして書かないといけないのかも。なんせ、伝えようのないものを伝えようとしているのだから。
もちろん、そんなこと分かっていて、「それでもこの本を」という飲茶さんのメッセージが熱いです。
物語としてものすごく良くまとまった感じです。
そうか、この先とかはなくて、「ここ」で、すべての結論をだしたのか。
このまとまりが、予定調和なのか、物語のパワーが導いた結果なのかはわからないけれど……。でも、この物語に凄く引かれていた自分としては、後者だと思いたいですねぇ。
少なくとも、「人と人が傷つけあうのは悪い事とは思わない」という境地は、けっこう、ジャンプ系バトルが突き抜けていった先にある1つの境地だと思います。
「シャーマンキング」以外にも、この道があったかみたいな驚きがありました。
そして、最後の結論が、「キミに届け」だったというのも、なんか、凄い。でも、納得できます。