長い過去編

安彦良和,読書

アリオン3

単行本コミックスのマンガが、文庫になるときに、ちょっと不満があります。
それは、作者がコミックスになったときに、ちょうどいいところで切れることを考えているのに、文庫にするときにその構成がダメになったチャウことですねぇ。そこは、作者の意図をくみ取って文庫の構成をして欲しいです。

ということで、文庫版ではこの3巻の途中からはじまる「プロメテウスの章」ですが、もとのコミックスでは、元のコミックスでは4巻まるまるが過去編でした。
この1巻まるまる過去編というのは、ものすごくシビれた。
そういうことしたマンガって、わたしが読んだ中では、「アリオン」がはじめてで、もしかしたら、マンガ史上はじめでないかと思っているのですが、違うのかな。まあ、それ以前にも「超人ロック」みたいにちょうど1巻で、1話が終わるマンガはあったのですが、回想して、ずっと1巻かえってこなかいというのは、本当に衝撃的でした。
めっちゃ、この展開が、熱いと思っていました。なんなら、アリオンで1番盛り上がっているのは、「プロメテウスの章」だと思っていましたから。まあ、今読むと、そこまでの衝撃はないですねぇ。
でも、多分、安彦 良和、マンガ家としても、けっこうすごいことをしている人だと思います。この後、けっこう、回想篇からもどってこないマンガって、結構出たので、すごい影響力があったのではないかと思っています。

「天才柳沢教授の生活」とかで、過去編からなかなかかえってこなくなったのは、このマンガの後のはず。
そして、過去編は盛り上がるという前例を作っていった。それまでのマンガって、こういう構成はゆるされていなかったのでは……。

とここまでかいて、「風と木の詩」のことを思い出しました。あれも、過去編がながいマンガですよねぇ。あっちの方が、先ですね。多分。