購いの聖者

ナルニア国物語,映画

ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女

映画「ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女」を見てきました。

原作は、かの有名な児童文学です。
とか書いていますが、わたしは、まだ読んだことありません。実は、名作でけっこう抜けているものも多いです。
特に、ファンタジー系は、けっこう大人になってからの読書が多いので、ハヤカワ文庫と昔の講談社文庫((昔の講談社文庫は、ファンタジーでいい作品が多かったのです。安房直子、あまんきみこ、トーベ・ヤンソンなどなど))が中心なのです。
だから、「ナルニア国物語」とか、「ゲド戦記」とか、ミヒャエル・エンデとか、岩波のファンタジーは、けっこう読んでないものが多いのです。
まあ、文庫でないので、1冊1冊が高価でかかさばるという問題も、かなり大きいと思います。

でも、有名なので知識はあります。

「ナルニア国物語」の知識。

  • タンスの扉の向こう側に、ナルニア国が広がっている。
  • タンスを行ったり来たりの大冒険。
  • 「ライオンと魔女」の原題は、「ライオンと魔女と衣装ダンス」。
  • 魔女は、悪者らしい。
  • キリスト教の影響が強いらしい。

ぐらいです。で、これぐらいの知識で、映画を見に行きました。

映画の始まる前、ねぇさんのが買ったパンフレットを見て、さらに少し知識を仕入れます。

  • 1番下のムーミンみたいな子は、「頼もしのきみ」になるらしい。
  • 次男が、行方不明になるらしい。
  • 舞台は、第1次世界大戦中?

で、映画です。

以下、ネタばれもありますので、ご注意を。


さすが、古典。さすが、ファンタジーの源流。
すーーーーーっごく、平凡なお話でした(笑)
うん、子どものときに聞いたファンタジーという感じ。

もちろん、戦争中で疎開するとか、そういった時代背景はしっかりかかれています。4人兄弟のそれぞれの性格や、抱えているものも、ものすごく浮き彫りにされて、うまく描かれています。
だから、退屈ではなく、楽しい。
でも、新しい感じはしない。
その分、パチ、パチと、ピースがはまるような感じはあります。

うーん、例えば、「教授」の位置とか。
しゃべる動物たち。

「指輪物語」の場合は、歴史として、時の流れとともにファンタジー世界の住民たちも存在しているのですが、「ナルニア国」の場合は、なんというか、生活を感じさせない夢の世界の住民のようです。

生活を感じさせない。それは、ちょっと違いますね。そこで、たしかに、ビーバーの夫婦の生活を感じることはできるし、フォーンたちの生活も感じることはできる。
でも、その生活自体が、夢にはいってしまっているような……。
たとえば、フォーンが傘をさしているんですが、その傘は、いったいどこで作られたのか?そういうことは、さっぱりわからない。そういう、つながりのない部分がけっこうあるのです。

きっと、動物たちがしゃべるせいだと思います。
しゃべる動物たちというのは、生態系を想像しにくい。なにを食べているのか、考えたくないんですね。
お茶を飲んだりは、する。でも、主食がなにか?どうやって、なにを食べているのかは、考えられません。
特に、肉食動物は。

今回、悪の側には、オオカミがついていました。これが、残忍に、弱い善良な動物たちをたべるというのはわかるのですが、善の側の肉食動物たちは……。

あと、物語のなかで、異世界にもかかわらず、クリスマスのことが語られていたり、サンタクロースが出てきたり。
うーん、このあたりは、すごく違和感が。
じゃあ、この世界にも、キリストがいたのか??

まあ、そんなことを考えながら、見ていきました。

なんか、アスランというのが、善の勢力をまとめているらしい。
アスランというのは、いったい誰だろう?
わたしは、4兄弟のうち、行方不明になった次男が、このアスランになるのかと思っていましたが、そんな様子はありません。

うーん。そういえば、「ライオンと魔女と衣装ダンス」。
魔女は出てきたし、衣装ダンスは出てきたし……ライオンは、出てきていないなぁ。

てなことを考えていると、出てきました、ライオン。そして、彼がアスラン!!
ちょっと、このあたりは、ワクワクする展開でした。

アスラン、かっこいいです。
この物語の主役です。

でも、アスランは、次男が犯した罪をかぶって、魔女に供物として殺されてしまいます。
えー、こんなにかっこいいのに、第1章で殺しちゃうの~。もったいない~。
なんて思っていましたが、最後に復活。

「罪のない者が進んでいけにえになって、裏切り者のかわりに殺された時、死は振り出しに戻る」1

都合よすぎるやろう~~!!

このあたりも、なんていうのだろう、人の思いが物語や歴史を作っていくというよりも、物語のルールが、世界律が、物語を動かしている印象が強かったです。

これは、うーん、都合よすぎ。とか、思っていましたが、家に帰って、机の上にあった1冊の本を見て、なんで、そうなったのかを突然理解しました。

その本の題名は、「購いの聖者」。

罪人のかわりに殺されて、復活した者。
キリスト教的な世界観。

アスランって、イエス・キリストなんだ。
そう考えると、たしかに、あれ以外のストーリー展開はないなぁと思いました。

最後まで、「作り物の世界」みたいな感じは、強かったです。
でも、ある意味、ファンタジーに遊ぶというのは、こういうものなのかなぁとも思います。

最後、いきなりみんなが王様とかなるところビックリしました。しかも、別に、どこかの国をそれぞれ統治するとかそんな感じはまったくないです。
なんか、

「それから、みんなは、しあわせにくらしました。」

という言葉が似合いそうな。
そういうお話なんですねぇ。

で、さらに年をとって……。この展開も、ビックリしていました。
なんか、シカ追いかけているし。あのシカは、しゃべらない動物なんだろうか?

しかし、この話って、どんな続きになるんだろう?
これだけで、すごくまとまっている話でした。
ちょっと、続きが気になりますねぇ。

うーん、ナルニア国は、「国」というよりも、「想像力のなかの世界」だなぁと思います。
だから、これが4人の兄弟の作った作り話だったとしても、全然おかしくない。

案外、ナルニアという世界の成り立ち自体が、そんな「想像力」と一緒にあるのかもしれません。

原作も、読んでみようと思います。

  1. なんか、うろ覚えです。こんな説明でした。 []