心の中のイニシエーション

荻原規子,読書

これは王国のかぎ

アラビアンナイト風の異世界に召喚された女の子のお話。
「魔法騎士レイアース」とか、「永遠の戦士」を思い出させる、ものすごくオーソドックスなお話です。
そして、みごとな、「行きて帰りし物語」です。

この人のかくのは、マンガだねぇと思います。マンガなりのリアリティや、おもしろさも、しっかりと入っている。でも、小説なところが、とってもおもしろいです。

では、以下ネタバレありです。


でも、いきなり「コレ」と思う男の子とはぐれてしまって、後半までずっとそのまま、そして、男の子は主人公がいなくても、すっかり自己実現してしまうという展開は、ビビリました(笑)

でも、それが、この物語の大きなテーマの1つにもなっているなぁと思います。

こういう物語の中に入っていって、物語の構造から脱出しようとする物語1は、どうしても、理屈っぽくなってしまうのですが、「これは王国のかぎ」は、そういう理屈っぽさ、作者が完全にこの世界を構築しましたという堅さがないので好きです。

それはこの世界が、アラビアンナイトという、ある意味、借りものの世界であったからかもしれません。

  1. 物語として、矛盾していますが。 []