わたしと推理小説

アガサ・クリスティー,矢沢聖子,読書

スタイルズ荘の怪事件 クリスティー文庫1

ということで、江戸川乱歩に導かれて(笑)、アガサ・クリスティです。

このシリーズ、全100巻。はたして、どこまで読めることやら。今のところは、ポアロ、マーブル、短編などなど、巻の順番ではなくて、ジャンル別にいろいろ読んでいこうと思っています。

クリスティは、「アクロイド殺人事件」と「ABC殺人事件」ぐらいしか読んだことがありません。多分、新潮文庫から出ていたものだと思います。
これまで、ミステリー自体にあんまし興味がなかったということあります。まあ、ハードボイルドをちょっとかじるぐらいです。

1番の理由は、あんまり頭よくないんですね。あと、読書のスタイルが、いろいろな本を平行して読んでいって、そのなかでおもしろいのが優先されるということをしているので、登場人物が多くて複雑な物語は、誰が誰だかわからなくなっちゃうのです。

だから、主人公だとか、目立つキャラクターや、好みのキャラクターを追いかけていくタイプの読み方になります。

でも、ミステリーというか、推理小説は、犯人が目立たないように、けっこう平坦に人物が描かれてしまいます。
結果として、わたしは、名探偵とその相棒ぐらいの登場人物しか、おぼえていないという……。

そして、名探偵が一同を集めて、

「犯人は、この人です!」

とかやると、

「誰だそれ?そんなヤツ、出てたか?」

てな感じになってしまうわけですね。

だから、江戸川乱歩の二十面相とか、栗本薫のシリウスとか、強烈な悪役はおもしろいと思うし、好きなのですが、他の本格推理というヤツは苦手なわけです。

で、クリスティ。クリスティは、本格推理でありながら、けっこうキャラクターがおもしろくかけている人なのだそうです。

おそらく、「アクロイド」や、「ABC」を読んだのは、中学生時代です。その頃から、この読書の好みの傾向はありました。というか、その頃、いろいろと読んでみて、こういう読書の傾向が出来たのかも。

たしか、兄貴の影響で小学校高学年ぐらいから、シャーロック・ホームズのシリーズを読み出して、いろいろ手を出したんです。

ルパンと乱歩は、その頃からシリーズが多すぎて、あんまり手を出さなかった。ポプラ社版の子ども用のヤツは、絵もなんかオドロオドロしてますし(笑)
なんか、スタイリッシュなやつが読みたかったんだと思います。

で、ディクスン・カーの「ドラゴンプールの怪事件」とか、クイーンの「悲劇」シリーズとか、クリスティとか、に向かったわけです。

その結果、ディクスン・カーは、読めませんでした。本当に、これは、全然、おもしろいとは思えなかった。なんか、謎解き終わったあとも、ワケがわからなかったし。

クイーンの「悲劇」シリーズは、結構おもしろかったです。

以下、「悲劇」シリーズと「アクロイド」と「ABC」と「スタイルズ荘の怪事件」のネタばれありです。


「Xの悲劇」は、なんか、犯人がはじめからわかっていたんですよねぇ。もしかすると、ちょうどその頃、チェスタートン「ブラウン神父の童心」を読んでいて、「見えない人物」のトリックを知ったばかりだったかも。
でも、これって、今のわたしたちの目からすると、

「そんな人物、見逃すか?」

という感じなんですよねぇ。

で、「Yの悲劇」。これは、参りました。明らかに、犯人は読者の前に提示されているのに、見事に、見えなかった。
まさに、知的冒険!!

「やられた!!」

と、思ったわけです。
ただし、わたしは、この「犯人」像を受け入れることが出来ません。おそらく、今でも、昔以上に無理です。

卑怯だとは言わないけれど、「それは、あってほしくないなぁ」というような犯人なのですね。

で、これがトラウマになって、結局「Zの悲劇」や、「最後の悲劇」には進まなかったのでした。

さて、クリスティです。

「アクロイド殺し」が、最初に読んだ本です。
これは兄貴が、

「1番、意外な人物が犯人やで」

と読む前に言っていて、わたし、本の表紙の折り返しについている登場人物紹介を見ながら、

「じゃあ、1番意外そうなこの人?」

と、聞いてみたんですね。それは、まあ、主人公格な人なのが一目でわかったので、これが犯人だったら、確かに意外だなぁと軽い気持ちで。
そうすると、

「当たり」

と、読む前にいわれてしまったという記憶があります。
で、犯人を知ったまま推理小説を読むという、味気ない事態になってしまったわけです。

ただ、これは、犯人がわかっていても、最後まで読めるミステリーでした。
最後のポアロの結論(というか、責任の取らせかた)((たしか、自殺を勧めるみたいな。))が、あんまり好きではなかったのです。

「ABC」の方は、あんまり記憶に残ってないですねぇ。たしか、3つの連続殺人があって、意味があるのは真ん中だけとかいうやつだったかな?名探偵が出てきていたかどうかも、知りません。

で、まあ、クリスティは、ミステリーのなかでも結構読めるんじゃないか、わたしの読書のジャンルにミステリーが極端に少ないので、ちょっと入れておいた方がいいんじゃないか、という結論での今回の「クリスティ文庫」なのでした。

さて、「スタイルズ荘」は、クリスティのデビュー作にして、ポアロの初登場作品です。

ものすごくオーソドックスな推理小説です。
人物も、メリハリがきいていて、けっこう、誰が誰かというとこにはならなかったです。

ポアロは、「昔読んだときほど、イヤな奴じゃないやん」とはじめは思いましたが、やっぱり、あんまり友だちにはしたくないヤツでした。
それなりに、かわいらしさがあるのは、今回読んで、初めての発見でしたが。

まあ、ちょっと気になったのは、ヘイスティングズだけが、メチャクチャいい人で、あとはみんな信用できない人間なところですね。

お金持ちになるとそうなのよ……てなところが、スタイルズ荘というのを舞台に選んだクリスティの慧眼なのかもしれません。

「普通におもしろい」ぐらいなのですが、推理小説でそれは、けっこう貴重かも。

まあ、乱歩もあるので、なかなか進まないと思いますが、少しずつ読んでいきます。