もうひとつの結末

あべ弘士,木村裕一,読書

まんげつのよるに シリーズ あらしのよるに 7

テレビで放送されて、アニメ映画になって、関連グッズが発売されて、となにかと話題の「あらしのよるに」です。

そして、これは、6巻で完結だと思われていたシリーズの第7巻です。

きっと、いろいろなメディアにさらされるなかで、有名になって読まれていくなかで、ものすごくたくさんの声があったのだと思います。

「メイとガブには、幸せになってほしい!!」

という。
そして、その声にこたえる形になったのが、本書の物語……。
以下、ネタバレありです。本を読んだ人だけおすすみ下さい。


2人とも、幸せになって、ハッピーハッピー。めでたしめでした。
みんなは、胸をなでおろす。

なんか、さみしいんです。
この本のことを、このシリーズをことを知ってほしいと思って、子どもたちに読み聞かせをしたり、紹介をしたりしてきたのですが、今のこの状態は、なんかさみしいです。

より多くの人に伝えるのに、どうしてアニメにしなけりゃいけなかったんでしょうか?
アニメになって、関連グッズが売り出され、消費されている。
結末すら、多くの人に受け入れられやすいように、かえられていく。
そして、やがてブームがさって忘れられていく。
そんな流れのなかに、乗ってしまったように感じるのです。
だれも、止めなかったの?と思ってしまう。

わたしは、「あらしのよるに」といういう一連のシリーズが、大好きだったので、絵本のままでたくさんの人に知ってもらいたいなぁと思っていました。

それはもちろん、まだ見ていないアニメ「あらしのよるに」の出来・不出来をうんぬんすることはできません。
でも、本をめくるドキドキをアニメで表現できるとは思えません。
映画を見て絵本を手に取る人も、きっといるとは思います。でも、はじめて読んだときのあのドキドキ、驚きは、奪われてしまっているんです。

もちろんこれは、自分だけがしってるマイナーなものが、メジャーになって手に届かなくなったという嫉妬ににた感情も絡んでいるかもしれません。
それでも、さみしいなぁ。

この本が出版されるのが、「映画化にあわせて」ではなくて、ずっともっと何年も後、ファン以外の人が忘れてしまったころ、そっと出たのだったら、もうちょっと素直に受けとめられたんだろうと思います。

あぁ、よかった。そうだったのだと、きっと、胸をなでおろせたのだろうと思います。
でも、今は……。