「チケットトゥライド」がやって来た! その2

「チケットトゥライド」がやって来た!,ボードゲーム日記,ボードゲーム雑記

さて、箱をあけてみて…

前回は、近くの「イズミヤ堅田店」に「チケットトゥライド」が置かれていて、購入するまでのお話でした。

さて、「チケットトゥライド」ですが、実際に箱をあけてみて、どんな感じなのか見ていきます。

1つショックなことは……箱がちょっとショボイです。

元のデイズ・オブ・ワンダー社の「乗車券」の箱は、けっこう大きいです。
このあたりは、日本の住宅事情があるのかも知れません……。今の子どもに許されているスペースが、テレビゲームのスペースだけだとすると、これでも、まだ大きいとかいわれてしまうかもしれません。

それから、デイズ・オブ・ワンダーの箱は、お弁当箱タイプのパカッと開くヤツですが、バンダイの「チケットトゥライド」は、子どもにはちょっとあつかいが難しい上下をあけて出すキャラメル箱タイプです。
これは、お弁当箱タイプの方が、使いやすかったと思います。多分、お弁当箱タイプにすると、箱の強度がそれなりに必要になるので、経費削減のために、このタイプの箱になったのかなぁ……。

ボックスアートは、ドーンと、ど真ん中に、プレイ風景の写真です。で、脇の方に、 もともとの「乗車券」に使われているものをコラージュした感じでイラストが使われています。

「乗車券」は、ゲームの写真などは箱の裏側にしかかかれていません。これは、日本で売ろうと思えば、まだ、イメージイラストだけでは商品を手にとってもらえないだろうという配慮だと思います。
もちろん、裏をみれば、どんなゲームかだいたいわかるのですが、日本で売れるものは、キャラクター商品が中心ですから、手にとって、裏まで向けてもらうことを期待するわけにはいかないのだと思います。

キャラクターが強調されているように見えるは、プレー風景の写真が中心になって、イラストが小さくなってゴチャゴチャと集まってしまったためだと思います。
もっとも、「旅の扉」(なぜか、箱の上が1ページだけ開く本みたいになっています)を開いてみると、このキャラクターたちが、ゲームの遊び方について、いろいろしゃべっていますので、なんとか、知らないキャラクターなりに、親しみを出させたいという意図があったのかもしれません。

たしかに、イラストだけバーンとある「乗車券」の方が雰囲気があってかっこいいのですが、これは、日本のおもちゃの成熟度のせで仕方ないのかも知れません。
わたしたちは、あんまにも、テレビに囲まれ、キャラクターに囲まれる暮らしをし過ぎているのだと思います。

じゃあ、本物は伝えなくていいのか?本物を伝えるべきではないのか?

そういう考え方は、確かにあると思います。本物は、知っている人には伝わっています。でも、今回は、それとは違った人、普段は伝わっていない人に伝えたいという思いがあるのではないかと思います。

わたしは、しっかりと、「Alan Moon」とデザイナー名が箱にクレジットされているだけで、

「バンダイ、けっこう真面目に、ゲームを出そうとしているんだなぁ……」

と思いますよ。
たとえ、このアルファベットが、何を意味するのかわからない人が大半だとしても……。

そういう意味で、「見てもらう」「手にとってもらう」工夫や努力は、なかなか大変そうです。多分、これがベストではなく、これからも、いろいろと試行錯誤していく問題だと思います。

さて、箱をあけて、次の日にあるゲーム会にもっていくつもりだったのですが……。

「あ、コレ持っていくの無理…」

あっという間に、くじけそうになりました。

「あぁ、これ、カード、自分で1枚ずつ抜かないといけない!!」

今回、コンポーネントを見て、これが1番衝撃的でした(笑)

たしかに、ドイツゲームでも、いろいろチップや、タイルを型から抜かなければならないゲームはあります。カルカソンヌとかも、全部タイルを抜かなくてはいけないので、けっこう大変です。

でも、「チケットトゥライド」は、プラスチックのコマと、ボード、カードで遊ぶゲームなので、「乗車券」では、なにも抜くものはなかったのです。
が、「チケットトゥライド」は、カードを全部自分の手で台紙から抜くようになっていました。

えーと、「チケットトゥライド」って、けっこうたくさんカードを使うゲームなんですよ……。今調べたところによると、140枚使います。
うーん、これもおそらく、「経費削減」なんでしょうねぇ。

そういえば、「マーメイドレイン」も、カードを手で抜いたような思い出が……。日本の伝統??

まあでも、こういった努力の末に、定価3500円。実売価格3000円があります。「乗車券」が、6000円前後のお値段なので、約半額ですからねぇ。
これは、日本で、デジタルじゃないゲームの値段設定としてかなりがんばっていると思います。これ以上高いと、多分、購入してもらえないのでは。

カードは、「乗車券」のものよりも、ひとまわり小さくなっています。エンボス加工はされていません。このあたりも、値段削減の努力の結果だと思います。

行き先カードは、当然、日本語化されています。これは、やっぱり素晴らしいですねぇ。以前、エポックででたゲームは、訳以外、カードからなにから、全部、元のママ日本語なしなんていうのがありましたから。
色の他に、その色を表すマークもかいてあって、いろんな人にフレンドリーです。

カード自体は、もともとの「乗車券」でも、小さいカードでした。2作目の「乗車券 ヨーロッパ」、3作目の「乗車券 メルクリン」は、大きくなっています。小さいカードは、プレイしにくいという声も聞きますが、そんなに情報量の多いカードでもないので、これはこれで、切符っぽくって悪くないと思います。

汽車のコマは、1色ずつ小箱に入るようになっています。色の5色の収納箱と、それ以外のカードや、点数コマを収納する小箱が1つ、計6つの小箱がついてあります。
このあたりは、安くあげて、収納にもいいようにと、けっこう考えてあります。
ドイツゲーム(「乗車券」は、アメリカのゲームか?)は、なかが区切ってあるのですが、持ち運びすると小袋にいれておかないとバラバラになってしまうものもありますし、クイーンゲームズのように、そもそもどうやって入れるか謎という箱もありますから。

汽車のコマは、「乗車券」のものと一緒。点数ごまが、「乗車券」では木のコマだったものが、「チケットトゥライド」ではプラスチックのものになっています。
このあたりは、コマだってプラスチックなので、あんまりわたし的には、こだわりはないなぁ。

ボードですが、厚さが半分ぐらいになっています。
元に比べれば、確かに耐久性は落ちると思いますが、反ったりしませんし、よっぽど乱暴なことをしなけば大丈夫な厚さは保っています。

今回、このボードは、ホントようによくやってくれています。

まず、当たり前かもしれませんが、完全日本語!!!

「アルファベットなんて、簡単に読めるじゃないか」

という意見もあるのですが、「チケットトゥライド」は、8歳以上が対象のゲームです。
その年齢の子どもたちに伝えたいと思えば、やっぱり、地名の日本語化は、とっても大切です。

広げたときのボートの大きさは、「チケットトゥライド」も、「乗車券」も、同じ大きさです。
これは、汽車のコマの大きさ、つくりが一緒なんだから、当然といえば当然ですね。

このボード、けっこう「乗車券」のボードに比べるか、改善されているところがあります。

プレイのしやすさに関する改善点としては、ボードのまわりの得点トラックの改善があります。
「乗車券」の得点トラックは、1周80点で、四隅に時計の絵が描かれていて、その時計の絵は、得点のマスとして数えないつくりになっています。
「チケットトゥライド」の得点トラックは、1周100点。四隅の時計の絵も、得点のマスとなっていて、数え間違えが少なくなっています。
これは、細かい変化なのですが、「遊びやすさ」を考えたときに、とてもいい改善点だと思います。
また、点数が1周してしまったとき(ありえるのかな?)にも、101点からスタートするので、数えやすいです。

それから、もう1つの改善点は、カードや、ボードの色ごとにマークがついていて、色が見分けにくい人でも、プレーできるようになっています。
これは、「play:game」でのあおぞらさんの評価を読んで気づいたのですが、

「あれ?もともと、そうでなかったっけ?」

と確かめてみました。
2作目の「乗車券 ヨーロッパ」や、「乗車券 メルクリン」では、そうなっているのですが、確かに、1作目の「乗車券」は、そういうマークは付けられていませんでした。
これは、今まで日本のおもちゃのなかでは、あんまり考えてこられなかったことで、すばらしいなぁと思います。

もしかすると、改良をしっかりしてくる海外ボードゲームですので、マイナーバージョンアップをしていて、大賞マーク(ポーン)付きの「乗車券」では、改善されているのかもしれません。 このあたりは、確かめられませんでしたが、それでも、ちゃんとバンダイが、そういう部分を改善して出してきたのは、バンダイの「本気」さをうかがえさせられます。

マニュアルは、フルカラーでないのが残念でした。3色ぐらいで刷っていて、見にくいことはないのですが……。
ルールで問題になりそうなところは、かゆかゆさんが指摘されているように、「ゲームの終了」のところだと思います。これは、多分、勘違いなんでしょうねぇ……。この点は、残念です。

あと、細かいことですが、「乗車券」では1枚ずつだけついていた「最長ルート」のカードと「線路マス別得点表」のカードがありません。

「最長ルート」については、ゲームの終了時にいれる点数なのであんまり問題ないかな。ただ、入れ忘れがないように思うなら、多少あった方がいいと思います。

「線路マス別得点表」は、ボードにかいてあるのですが、たくさんの人数でプレーすると、これが見にくいです。1枚でもあると、

「得点表みせて」

とまわして使えます。いちいち、マニュアルをまわすのは、プレイアビリティが落ちます。
わたしは、本当は、このカード1人に1枚ずつあってもよいのではないかと思います。
これが、「チケットトゥライド」の最大の残念な点だなぁと思います。

でも、このゲーム、伝わるかどうかわからない今の日本の市場に、なんとかして「伝えたい」という思いは、いっぱい伝わってきます。
はたしてこれで伝わるのかどうかというのは、かなり難しいところではあるのですが……(そりゃ、「ドラえもんのアメリカ旅行ゲーム」にした方が、手にとってもらいやすい。でも、それはしないギリギリのところでがんばっています)
マニアからみれば、確かに、文句のいいどころ、ツッコミどころは、いっぱいあるのだと思いますが、わたしは、これが売れて、日本のボードゲーム市場が元気になってくれたら面白いなぁと思います。

そのためには、やっぱりボードゲームで一番大切なのは、遊んでみることです。

一緒に、子どもたちと。