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経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ 増補改訂版

おもしろい。

教育的で、ある意味、読者をどこかに導こうとする意図が見え隠れするのはたしかなのですが。でも、「正しい状態」とは、こういうものであるということを知るのは、確かに大切なことだと思います。

今まで、株の本ならば、「どうやったら株でもうかるか?」という話は聞いたことがあったけれど、どうして株ができたのかとか、株を買うとはそもそもどういうことなのかということは、ほぼ知らなかったなぁと実感しました。
どうしたら「儲かるのか」という株とのつきあい方が書いてあるのではなくて、どういう株とのつきあい方が「正しい」のかが書いてあって、これは、目からウロコだ。

……多分、授業では、ならったはず??ならったかな?

世界中のほとんどの人が、「正しい動き」をすれば、経済の世界は正しくまわっていく。ですが、今の情報化時代。
「おいしい動き」は、けっこう簡単にみんなの知るところになり、みんながそれをすれば、メチャクチャになってしまう。そして、現に、けっこうメチャクチャになってしまっている。

じゃあ、どうするの?自分は正しい動きをして、甘い汁を一部にすわすのか?
本当は、それが、全体をみれば正しいような気もします。でも、人間は、自分が損をしてでも、相手においしい思いをさせたくない生き物ですからねぇ。

その辺りが、これからの人類とか、日本とか、大きく見たときの課題になっていく気がします。
ものすごいモラルか求められるか、それとも、滅びるかみたいな。

他人が、悪いことして甘い汁を吸うのに対して寛容であるモラル。難しそうだ。