物語を知っている

竹河聖,読書

風の大陸 最終章 祈り

シリーズものは結構読んでいますが、これだけ長いお話のラストというのは、実は、あんまりお目にかかったことがないのかも。

だって、「グイン・サーガ」は、延々と続いているし、「幻魔大戦」とかは、なんか途中で終わっていますから。途中で書かれなくなって、それで「終わり?」という感じのシリーズも、けっこうあります。

そういう意味では、「風の大陸 最終章」は、めずらしくグランドフィナーレという感じで、ちょっと感動しました。

以下、ネタばれありの方向で(笑)

えーと、わたしは、1巻、2巻読んでいたときは、ずーーーーっと、この話って、最後には大災害がおこって、アトランティスが沈んじゃう話だと思っていました。
だから、イメージとしては、「夢見る惑星」みたいな、大脱走……というか、民族大移動で、終わる話なんだと思っていました。いかに、混乱なく、多くの人を大陸から移住させるかみたいな。

その思いは、ずっとあって、アステ・カイデ編や、ローダビア編で、もうすぐ完結と聞いて、

「どうするの!!」

とか、すごく思っていたのです。
だって、けっこう災害が差し迫っているのに、いっこうに民族大移動の用意をしないんですもの。

まさか、まさか、大陸を救ってしまうとは思っていませんでした(爆)
まあ、「世界の相」は、世界を救うという話ではあったんですけどね。全然、ティーエを信じていないこの読者!

というか、自然は、たとえ超能力といえども、個人の能力だけではどうしようもないよねという思いがあったのです。

でも、この世界の救い方は、まあ、個人の超能力というわけでもなく、なんとなく納得という感じです。
ちょっと、ドラゴンボールかと思いましたが(笑)
でも、それは、物語というものを知っているのだなぁと感じました。

だから、最後の最後の活劇も、それから、ドラスゥエルクが拗ねる最後のオチも、すごくはまっています。

わたしは、「風の大陸」は、メインストリームよりも、「銀の時代」や、「氷の島」の方にひかれます。
こっちは、自然災害のような大きな話ではないのですが、その分、人間ドラマが魅力です。

メインが終わって、今は小休止しているこの枝の物語も動き出してくれるとうれしいです。