蒼のマハラジャ3
知識がなくても、インドという国のなりたちや、宗教、人種的な複雑さを感じることができるという希有な作品だと思います。
特定の宗教であったり、カーストに密着した話も大切ではありますが、俯瞰的に複雑さが見えるためには、王族という立場(しかも、異邦人のマハラーニ)故なのではないかと思ういます。
もちろん、そのために薄味になっていると感じるところはあるかもしれませんが、エンタメと歴史の問題を上手に絡めて、読んだ人に忘れられないものを残してくれます。
読み返したいと思っていた神坂 智子です。
歴史とのからみが大きい「蒼のマハラジャ」から。
たしか、角川の初マンガ雑誌だった「ASUKA」の初期に連載されていたはず。
「T.E.ロレンス」とかは、まあ、ノンフィクションなのですが、これは、フィクションと歴史が綺麗に融合していて、ものすごく見てきたように自然にお話が動いていく。
いや、はじめて読んだときは、実際にベースになる実話があったのだと思っていました。
まあ、かなり冒険活劇ですが。それでも、このマンガというか、この人のマンガでなければ摂取できない物語としての養分があるなぁと思います。
これから先、このマンガに出てくるある言葉で、わたしは何度も勇気をもらいました。
2つの祖国に引き裂かれる。
彼は、マハラジャでも何でもなくて、ただの盗賊団の下っ端。
多分、行きつく先にあるのは、喜劇ではないと思います。
でも、今は、笑っていよう。
今だけのことを考えて……。
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小学館
発売日 : 2004-10-26
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神坂智子の作品は、実際の歴史の中で展開していく物語が多いです。
代表作である「シルクロード・シリーズ」や、「T.E.ロレンス」、「蒼のマハラジャ」なんかもそうですし、マルコポーロの話もありました。
日本の話である「春・夏・秋・冬」1や、「べんがら格子の家」なんかもそうですね。
レディースコミック系の物語や、短編にちょっと違うのもありますが。
この人の物語のすごいところは、そういった歴史的な史実と物語の部分が、なんというか、すごく地続きに続いているところです。
今回の物語は、英国植民地時代のインド。
インド人として育ったイギリスの少年の物語です。
両方の目をもっているだけに、少年の心は揺れ動きます。
神坂智子の物語は、少年には弱さを、少女には強さをという感じでしょうか。
タージマハルの話なんかは、どこから史実で、どこから物語なのだろうと感心してしまいます。