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弧笛のかなた

世の中には、まだまだ、面白い話書く人が、いっぱいだ~。と、思い知らされた1冊。

「守り人」シリーズが文庫になったので読み始めよう1ということで、その助走のつもりで読んだ「狐笛のかなた」なのですが、思わずはまってしまいました。

今、日本の女性作家の児童文学を何冊か読んでいます。
「西の善き魔女」「勾玉シリーズ」の荻塚 規子、「パッテリー」のあさの あつこ、「西の魔女が死んだ」の梨木 香歩。
で、荻塚 規子とあさの あつこは、子どもが読んでもちゃんと面白い児童文学をしていると思います。
でも、実は、梨木 香歩や、この上橋 菜穂子は、児童文学といいながら、子どもが読む本だとは、とても思えないのです。

それは、決して、4人を比べて、どっちが優れているとかそういう問題ではなくて、

「この切り込み方は、ある程度人生経験がないとわからないだろう」

と思わせるものが、梨木 香歩や、上橋 菜穂子にあるのです。2

「弧笛のかなた」は、ストーリーだけ追っていくと、メチャクチャ悲惨で暗い話のはずです。でも、不思議とそれは感じない。もちろん、脳天気なのではなくて、物語の1番奥のところに悲しみは流れているのですが、それでも、淡々としたそれぞれの生をかいています。

これは、上橋 菜穂子の圧倒的な文章のうまさがあって、なりたっているのだと思います。

楽しいシリーズが、これからも待っていると思うと、ちょっと幸せなりんでした。

  1. 守り人シリーズが、どんな話なのかは、まったく知りません []
  2. 好みだけの問題からいえば、わたしはきわめてマンガな荻原 規子の作品が1番自分にとってはしっくりきます。 []

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バッテリー

映画を見て、文庫本で6巻が出たので、読み始めました。

「バッテリー」は、なんと小学生を卒業して、中学校に入学するまでの春休みの間だけの物語でした。
この密度にビックリしました。
映画は、ぎゅっと6巻分が濃縮されていたのですね。

映画でも、親子関係など、微妙な描写が上手かったのですが、小説は、それ以上に上手かった。
変化したかしないかがわかるかわからないかぐらいの変化。それ以上書いたら作り事になるような心の動きが、メチャクチャおさえられながらも、的確にかかれていてビックリします。

1番最初にそれに気づいたのは、おろち峠を越えるところ。
あぁ、巧は母親に似ていて、青波は父親に似ている。そして、巧と母親のギクシャクしたところは、そんなところにも、原因があるのだなと自然に理解できました。
それは、映画を見ていたときは、気づかなかったことでした。1

もちろん、映画と同じく、巧の自負や、豪の心の広さには、

「オイオイ、キミたちは、本当に小学生か??」

とツッコミをいれたくなることもあるのですが、思い返してみれば、心の中では、少年時代、自分たちもあんな風に精一杯つま先立ちで背伸びをしていた気がします。
思春期をむかえた子どもたちにとっては、とても共感できる心の動きかもしれません。

だから、この物語は、とてもジュブナイルとしても優れていると思います。

  1. でも、確かに気がついて見ればという感じではかかれていましたが []

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バッテリー

映画「バッテリー」、見てきました。

実は、原作のあさの あつこの小説は、全然、読んでいません。あさの あつこ自体をまだ1冊も読んだことがないという……。
それなのに、何で見に行ったかというと、ねぇさんが、「バッテリー」のファンだからです。ただし、ねぇさんは文庫で追いかけているので、最後の1巻は、未読。

「早く6巻でろ~」

と叫んでおります。
完結したら、わたしも読んでみよう。

主人公の巧は、豪腕投手。どれぐらい豪腕かというと、思いっきり投げれば、取れるキャッチャーがいないぐらい。そんな巧が、中学校に入学したところから、物語が始まります。

マンガですねぇ。でも、こういうマンガ的展開は、わたしはマンガ読みなのでわかりやすいです。
まあ、マンガだと、そのあたりけっこうオーバーでもいいのですが、実写の映画だと、そういう表現って難しいものです。

中学校入学したての12歳。巧。
デカ!

まあ、怪物といわれるスポーツ選手ですから、体格もいいのかもしれませんが。しかし、巧、そして彼のキャッチャーになる豪ともに、デカイデカイ。

あと、ちょっとした役の同級生たちは小さいのですが、ライバル校の人たちとか(まあ、あの人は3年だけど)、ちょっとかわいい同級生とかも、デカイ。

中学野球の話なんですが、どう見ても、高校野球の話に見えます。

まあ、このあたりの年齢の違和感は、まわりがちゃんと小さいので、より強調されてしまっていました。

性格。
性格も、まあ、けっこう高校生みたいです。

でも、わたし、巧の性格は、あれぐらいの年齢のときって、イライラしているから、けっこうあるのかなぁと思います。読者や、見ている子どもが、感情移入できるのは、ちょっと背伸びしたタイプだと思うんですよ。
外面がチャランポランに見えても、心の中では、けっこう葛藤している自分がいる。そういうキャラクターに、感情移入した経験が、やっぱり自分にもありますから。

豪ちゃんの性格がねぇ、あり得ないぐらいいい子でした。まあ、きっと彼も家ではいろいろあると思うので、そのあたりは、映画ではかき切れていないのかもしれませんが。

ストーリーは、本当に、良くできたマンガを読んでいるような感じです。
これは、誉め言葉。

すっごい好きなシーンがありました。

巧には、体の弱い青波という弟がいます。
で、お母さんは、体の弱い青波をどうしても守りたい。でも、青波は、お兄ちゃんのマネをして、野球をやりたがったりする。
お母さんは、それをにがにがしく思っているわけです。

けっこう、ギクシャクした親子関係なんだけど、それは一面だけで、本当は、お母さんは、巧のことも大切に思ってたりする。
それが伝わるシーン。

同級生の女の子が、巧に電話をかけてくる。
果物を切って電話口に持ってくるお母さん。
このシーンで、お母さんが、すごくニコニコ(ニヤニヤ)しながら、彼に果物を差し出す。
彼が、照れたようにお母さんを追い払う。

これだけのシーンなんですが、ギクシャクしているだけではないんだよというのをメチャクチャ伝えてくるいいシーンでした。

お父さんも、なんというかホノボノキャラで良かったです。

ホノボノしていて、最後、泣かされてしまいました。

多分、いっぱいエピソードが省略されていて、もっともっといろいろなことを積み重ねていく物語なんだろうなということが、この映画を見ているだけで伝わってきました。

まあ、最後のお母さん、アレは失投を招くだろうとか思いましたが。
それはそれで、この映画の終わりに相応しいものだったと思います。

小説読むのが楽しみです。

……。映画が終了後、パンフレットを見てみたら、実際の年齢が……。弟役の青波役の子が、12歳。12歳って、あれぐらいなんですね。
まあ、個人差も、かなりある年ではあるのですが。

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おおきく振りかぶって3

こう、いろんな角度から、いろんなキャラクターの魅力を語ってくれているのがいいですねぇ。
加具山くんだって、「基本のキホン!」を読まなければ、こんなヤツだとわかんないですから。

それぞれに弱点があって、そこのところが魅力ですねぇ。

そして、さりげなくやらしい(笑)バッテリーの2人。いや、わたしが、汚れています(爆)

なんていうか、背中がムズムズするぐらいにさわやかで、グスグスしていて、「若さ」を感じさせてくれるマンガで、わたしは好きですね。

「ドカベン」のファンだったというのを聞いて、ちょっと納得。