銀の鍵 クトゥルフの神秘
「銀の鍵」のカーターの顔が、完全にラヴクラフトです。
まあ、そういう解釈にはなるわなぁと思います。
好きなのは、「ランドルフ・カーターの叙述」ですねぇ。あれと「アウトサイダー」のオチが実はラヴクラフトのなかでは2大好きなラストです。
実は、あとに続くクトゥルー神話よりも、ランドル・カーターものの雰囲気の方が好きです。多分、そういう人は多いと思うけど。
はじめ読んでいて、けっこう怪しい本なのかと思ったのですが、「時間が長く感じられたり、短く感じられたり」することと、しあわせが必ずしもイコールではないよということがかいてあり、これは、それなりに信用してもいいのではないかと思いました。
ぼくらは、なんか、効率よう時間の使い方を知りたがることが多いのですが、効率よく生きたから、しあわせに感じるとは限らない。なんか、グタグタした日が、とても楽しい1日であることも多いのです。
まあでも、その違いをいってしまったら、今までしていたおもしろい話って、意味ないのでは……と、ちょっと思わないでもない。
あと、自己防衛機制についての話は、かなりおもしろくて納得した。
まあ、無能な自分と向き合わないのも、しあわせの一つかも……いや、それは間違っている気もしますが。
ラヴクラフトのファンタジー長編。そして、神話とファンタジー系の作品をつなげる架け橋でもあるけっこう重要作品。
絵柄が無駄に、ジブリ系というか、宮崎 駿系。そして、非道いことに、目立つところにはマンガを誰がかいたかわからないという……。どうやら、奥付を見るといつもの人たちがかいているみたいですが、絵柄が全然違うやんという。とはいえ、この絵柄とストーリーはとてもよくあっていて、いっそのこと、駿が、これかけばいいのにとか思っている自分がいるという。そんなに、資質的に遠い感じではないと思います。駿とクトゥルー神話。
なんか、屍食鬼とお友だち(そして、けっこういい奴)とか、原作読んだときも、なんじゃそれと思ったところもあるのですが、まあ、そのあたりも好きです。
そして、これだけ世界を広げておいて、最後のオチ。いや、はじめから確かにそういっていたけれど……。
いろんな意味で、楽しいお話です。