狼の怨歌 ウルフガイ2
犬神 明が復活するヤング・ウルフ2巻目。
病院から犬神 明が脱出するまでの話だとばかり思っていたのですが、その後もけっこう長かった。
ストーリー自体は、まあまあ覚えているのですが、なんか、全部、脱出後の話って「狼のレクイエム」の方の話なんだと思っていました。
そうか、ここでもう、青鹿先生が捕まっちゃったりするんですねぇ。
昔は、神 明が、けっこうマヌケだと思っていたのですが、今、読み返してみるとそうでもないですねぇ。これは、これでかっこいい。
ヤング・ウルフの方。
以前読んだときは、こっちは、「狼のレクイエム」ぐらいまでは、おもしろく感じなかった記憶が。
多分、アダルト・ウルフガイの方を後から読んで、アダルト・ウルフガイの方がおもしろいと思いました。そして、「悪徳学園」読んだときも「狼の紋章」よりもおもしろいと思ったんですよねぇ。
ただ、たしか「悪徳学園」は、「安保反対ワッショイ」みたいなシーンがあって、ちょっと、時代的について行けないと感じたのも確か。
ただ、格好良さでいうと、アダルトよりもヤングの方が、ストイックで中二的で、かっこいいんですよねぇ。「転校生」だし。
今回読んで見て、というか、アレクサに読んでもらって、これはこれで、お話を積み重ねていくおもしろさがあるなぁと思いました。その分、積み重ねていく感じが強くて、スピード感がないんですよねぇ。スピード感は、「レクイエム」で一気に加速した感じです。
今回は、このまま最終章の「犬神明」まで行きます。「黄金の少女」までは読んだんですけど、「黄金の少女」は、まったく話が進んだ感じがしなかったからねぇ。
アダルト・ウルフガイ、本当のラストです。
これは、天使とかが出てこない時代のウルフであり、ファン的にもうれしかったのではないかと思います。
まあ、わたしは「幻魔大戦」以降の読者なので、そんなに天使にもそれほど抵抗がある訳ではないですけどね。
若いウルフは、けっこう自信過剰の乱暴者です。
でも、ときどき、未来のウルフの意識も紛れ込んでいるみたいで、おもしろい。
あぁ、犬神 明って、父と同年代の人なんだなぁと。今生きていれば……。
郷子とのなれそめのお話。
こうやって、2人は親友になりましたという話だと思っていたら、そこまでいかなかったというのは、ちょっとピックリしました。
ラストも、かっこいいんだけど、ここで終わるのという感じです。
綿貫が、いいキャラでねぇ。魅力的です。
さて、ここからは、再読ではなくて始めて読む「アダルト・ウルフガイ・シリーズ」です。
ここから、天使が出てきて、まあ、昔からの読者にとっては、評判が悪くなるところです。
それでも、わたしは「幻魔大戦」からはいった読者なので、そんなに、天使達には抵抗がないのでは……。と思って読み進めていました。
抵抗はないっちゃないし、おもしろいと思うのですが、まあ、確かに当時突然これ突然読まされたら、怒り出すわと思います。
なんせ、今まで肉弾戦がメインだったのが、精神世界の戦いがメインになってくるしなぁ。なんか、オレ流でいくぜと突っ張っていた主人公が、天使にへいこらしているのも、まあ、違和感あるわねぇ。
それでも、このシリーズの凄いところって、犬神 明といういうキャラが、考えてみたら前からストイックで優しいキャラで、存外ぶれていないところなんですよねぇ。
犬神 明を見ていると、陰中の陽という言葉を思い出します。
表現は、ひごいストレート過ぎて、純粋すぎて、犬神 明(いや、平井 和正)、本当に大丈夫?欺されてない?という印象は凄くします。
そう考えると、「幻魔大戦」は、あれで、一歩引いて見ているところがあったんだなぁと。
それせでも、こっちの方面でも、本質的なところで、団体と個人をものすごく切り離して考えていたりと、本当に一貫しているところは一貫しているなぁと思います。
ちなみに、車の中で一部を一緒に聞いていたねぇさんは、
「大丈夫?あやしい宗教にはまってるのちゃう?幸福の科学みたい…」
との感想を。
いやいや。オーム?幸福の科学?こっちこそが、元ネタよ!!……ダメじゃん。
消えたので、書き直し感想です。
リオ編。
昔、読んでいた角川文庫版では、「人狼地獄」という題名の本だったようです。内容は、まったく同じ。ハヤカワ文庫だと、「リオの狼男」と「人狼地獄篇」の2冊にわかれていて、「リオの狼男」の方には、「人狼、暁に死す」が入っています。
まあでも、リオ編というかブラジル編ということで、ハヤカワ文庫よりも、こっちの方がおさまりはいいですね。郷子を探索する話としても、これで完結している感じがします。
角川文庫だとこれが「人狼戦線」、「狼男だよ」に続く3冊目だった気がするのですが、そのあたりの記憶は定かではありまぜん。
これは、派手でいかにもアダルト・ウルフガイという感じがしますねぇ。そして、ラストがどうしようもないという。
このあたりから、もう、なんというか、犬神 明の罪は、はじまっていたんだなぁと思います。