アラベスク2 第1部 下
文庫で4冊。単行本なら、8冊ぐらいのはずのこのマンガですが、もし、同じストーリーを今かくとなると、多分、倍以上の量になるんだろうなぁと思います。
これが、マンガが進化してきた証拠でもあるし、また、昔のマンガが、とっても、濃密な味がある理由であるようです。
文庫で4冊。単行本なら、8冊ぐらいのはずのこのマンガですが、もし、同じストーリーを今かくとなると、多分、倍以上の量になるんだろうなぁと思います。
これが、マンガが進化してきた証拠でもあるし、また、昔のマンガが、とっても、濃密な味がある理由であるようです。
「妖精王」から、ちょっと山岸凉子づいていて、「アラベスク」です。
実は、もっと硬い絵だったと思ったのですが、読んでみるとそうでもないですね。
まあ、昔の少女マンガらしく、すごいアゴの人とか出てくるし、みんな派手なんですけどね。
今、「ダ・ヴィンチ」で連載している「舞姫 テレプシコーラ」とは、全然違うものだと思っていたのですが、けっこう、物語の基本的なところは変わっていないので、ビックリ。
例えば、お母さんが、バレエの先生とか。お姉ちゃんがいて、そっちの方が才能があると思われているとか、
もちろん、新作の「舞姫 テレプシコーラ」の方が、心理の深いところがかかれていますし、テーマ的にも、だいぶん違っているのですが……。
でも、バレエマンガの基本みたいなのは、この頃から、しっかりとあったんだなぁと思いました。
原型のルシフェルというのは、こんなものなんだろうなぁと思いつつ、わたしは、やっぱり「デビルマン」(原作ね)で育った人なので、どうしても、もっと強大なイメージを持ってしまいます。
そのあたりを気にしなければ、なかなか楽しかったです。
でも、後半は、アクションにつぐアクションで、前半にあったような印象的な場面が少なくなっている感じがして、ちょっと残念。
前巻では、「アーサー王伝説」とは、あんまり関係なさそうだなぁと書いていたのですが、ちゃんと登場人物たちのセリフのなかに出てきました。
ルシフェのセリフで、
「彼女はグネビア姫のごとく、騎士ランスロットを愛してしまったのさ」
と彼らの関係をアーサー王伝説に例えています。
なるほど。いろいろな神話、伝説を取り入れるときに、意識して「アーサー王伝説」のイメージも、取り入れていたようです。
わたしは、どうしてこの話を以前読んだときに、こんなに印象に残らなかったのかが、ちょっとわかりました。
まず大きいのは、「アーサー王伝説」をはじめとするケルトの神話にくわしくなかったことが1つです。
題材が、身近なものではなかったのですね。
それでも、ファンタジーは、そのころからけっこう好きだったのですが、多分、北海道という現実にある場所と、そういった西洋のファンタジーが、一緒くたになっているところが、受け入れられなかったのだと思います。
でも、今、こうして、「妖精王」を読んでみると、なんで、舞台が北海道なのか、すごくよく理解できます。
自然が、よく残っているからとかいう単純な理由だけではなく、おそらく、その気候にあったのだろうと思います。
むかし、今ひとつだったものも、読み返してみると、よいものがあるのかもしれません。
「『妖精王』は、アーサー王伝説ですよ」
「えー、読んだことあると思うけど、そんな話でしたっけ?」
という会話があって、1巻目を読みました。
パン(牧神)の子どものでてくる話ですよねぇ……。
その時点で、覚えているのは、そんなもの。
山岸凉子は、ファンタジーよりも、名作「日出処の天子」のイメージと、あと、あのめちゃくちゃおっかない怪談話ばっかり覚えています。
ということで、読んでみました。
出てきたのは、パンではなくって、ブックというコロポックルの子どもでした。
純粋なファンタシー作品だと思っていたら、北海道という現世とニンフィディアという幻想世界が、二重写しになっているファンタジーでした。
でも、確かに、「摩周湖」を「魔州湖」と読み替えるのには、覚えがあります。
ところどころ、覚えているような気もしますが、ほとんど、はじめて読む本として楽しめました。
出会った時期が、あんまり素直に物語をうけとれなかった時期なのかもしれません。
「月影の窓」のシーンなんて、すごく印象的で、一目見たら忘れないと思うのですが……すっかり、忘れていたようです。
でも、この物語が「アーサー王伝説」と関わりがあるのだということは、言われてみれば、そうかなぁという感じですが、言われなかったら全然気づかなかったと思います。
今の感じとしては、クーフーリンがランスロットで、主人公のジャックがアーサー王ということになるのかな?
なんか、昔、裏切ったみたいなので、グネヴィアも、どっかに出てくるかなぁ?
どっちかというと、このケルトの世界と現世との二重世界は、マリオン・ジマー・ブラットリーの「アヴァロンの霧」のシリーズを思い浮かべました。霧、湖、混ざり合ういろいろな文化の伝説と雰囲気も、なんだか、とってもよく似ています。
そして、「アヴァロンの霧」は、アーサー王のお話なので、その連想で、「妖精王」とアーサー王伝説も繋がったのかな。
そういえば、「アヴァロンの霧」の表紙のイラストは、少女マンガ家が書いていたと思うのですが、誰だったでしょう?