樹魔・伝説
実は、「イティハーサ」以外の水樹 和佳子の作品って、読んだことないのが判明しました。
あぁ、SFだ。それも、なんというか、懐かしい雰囲気がするのは、やっぱり20年前の作品だからということもあるのだと思います。
星新一、光瀬龍、平井和正、眉村卓と、この時代に影響を与えたSF作家は何人もいるのですが、少女マンガ系でSFをかいていた人は、みんな光瀬龍が好きだったんだなぁと思います。
植物に対する思いとかは、どこか、内田善美を思い出させて、その時代の空気みたいなものを感じさせられます。
おおっ。
後半部は、一気読みしてしまいました。
けっこうスリリングだ。
まあ、若干ロボット同士の権力闘争とか、ダニールの書き方とか、ドースはこれから浮気するのとか……。
アシモフじゃない~というのは、本当にそうなんだから、言ってはいけないのかな。
それでも、この後半の逆転劇は、けっこう読まされます。
それに、こっちの結論の方が、わたしには納得がいきます。
無名人の矜持というのも、けっこう格好良かったし。
「だか、考えてみたまえ、ダニール。イライジャ・ベイリがここにいたら、彼は危険を冒そうとするのではないかな?」
このセリフは、名言ですねぇ。
文庫版「イティハーサ」最終巻です。
黄実花という存在は、お話のなかのアクセントぐらいに思っていたのですが、どうやら、そうではない様です。
那智も、アオヒコも、確かに、黄実花の話をすごく重要視しているんですね。
今回、気がついたのですが、アオヒコと桂のラストシーン。あのとき、セリフに書かれていない言葉。
あのときに、なんて言うべきなのかを教えているのが、黄実花なんです。
そういえば、アオヒコにしろ、一狼太にしろ、トオコにしろ、鷹野にしろ、「救い」を求めているキャラクターのなかで、黄実花は、あんまりその部分に必要を感じていないんですよね。(まあ、キョウジも、あんまり救いの必要を感じていないかも…)
そういう意味では、とても自然体で、ニュートラルなキャラクターとして、設定されているのかもしれません。
そういえば、亜神、威神(そして、目に見えぬ神々)の間で揺れ動くキャラクターたちのなかで、黄実花のみが、どの神にも属していないのでは?
「この物語は、ファンタジーではなくて、SFとして完結しなければならない」
みたいなことを確か水樹和佳子がインタビューで言っていたのを見た気がします。
そのときは、そのSFの意味、こだわりがわからなかったのですが、人の心の動きという物語のなかに、もう1つ、大きな物語があるんだよという意味だったのかなぁ…というか、これは、水樹版「百億の昼と千億の夜」だとい宣言だったのかなぁと思います。
うーむ。
1つの物語が終わった。感慨深いものがありますね。
ところで、わたしの持っている本ですが、初版で、誤植があります。
それも、1番最初の口絵のページに(笑)
「第4部 目に見える神々」
………。
見えるんかい!!
新しい版は、修正されているようでした。