たまのみすまる

荻原規子,読書

白鳥異伝

幼なじみ恋愛。
ある意味、べたべたな展開です。

主人公の遠子は、「BASARA」の更紗のような強さを持つ女の子です。
その一途な思いは、自らの体の成長を止めてしまうぐらいの激しさです。

一方、もうそんな遠子の思い人、小倶那は、けっこう流されているタイプの人でした(笑)

大好きな小倶那が、大蛇の剣の主となり、故郷の村を焼き払います。
そして、遠子は、誓います。

「わたしが必ず倒してあげる」

彼が「魔王」になるのなら、わたしは彼のために必ず「勇者」にならなければならない。

そう誓う女の子の話。

お話は、コンピュータのロールプレイングゲームのように、アイテムをとって簡単にレベルアップというところがあって、そのあたりに多少不満を感じたりもするのですが、キャラクター1人1人が、本当に生き生きしていて、楽しめました。

特に、遠子と小倶那が、もう1度出会ってからの展開は、なんというか、素晴らしいです。

スバルも、まぁ、もてるだろうなぁというキャラです。
でも、この物語のなかで、主要キャラなのにあんまり成長した形跡がないことが、気になるかなぁ。象子ですら、成長しているというのに(笑)
ある意味、出てきたときから、完成されすぎているのかも。
この人が、物語のトーンをものすごく楽観的にしてくれています。

児童文学と呼ぶには、実は、少し後ろ暗い本なのですが、きっと、読書好きな子どもたちにとっては、自分だけに理解できると信じているその後ろめたさも快感だと思います。

かつて本好きな子どもだった、わたしがそうであるように。