影の子どもたち 世界の終わりの魔法使い3
このシリーズは、すべての物語が、アンに凝縮していく物語なのかも。
傍若無人だったアンが、いろいろな体験をして、それでも傍若無人なままで、少しずつ心を持っていく。
ここから、新しい展開に入っていくようなので、またかわっていくのかもしれませんが、それでも、この物語世界の真ん中には、アンがいるような感じします。
サン・フェアリー・アンとムギの最初の出会いの物語。
どうして、「世界の終わりの魔法使い」が始まったときから、サン・フェアリー・アンは、ムギに対して好意を持っていたのか、その理由がわかるみたいな。
でも、この物語でも、アンがムギのなにに惹かれたのか、とか、ムギがアンのなにに惹かれたのかとか、そういうことはわからない。説明になっていない。もともと、説明なんてできない。
まあそれは、一面の真実ではある。
多分、たった1つの言葉を伝えるためだけにかかれる物語があるんだと思う。
これが、そういうお話。
彼女こそが、ぼくの奇跡。
でも、待って欲しい。
彼女と出会っただけで、夢のような冒険が始まって、すべてが満たされてしまう。
そんな素敵な彼女。
でも、からっぽの自分は、何も変わっていない。
何も変わらないまま、しあわせになるために必要な彼女なんだから。
出会った瞬間から、ぼくを信じて、ぼくだけを見てくれる。
それはなんて都合のいい。
でも、西島 大介には、
「それは、全部フェイクだよ」
と言ってしまう悪意もある。
そんな都合のいいこと、みんなにおこるわけなくて、残される人間はずっと残される。
「どうでもいいさ」
とつぶやいて。