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ゲド戦記外伝 ゲド戦記 別巻

うーん。この題名。
最初に日本語のシリーズ名を「ゲド戦記」にしたことの弊害がでてますねぇ。ゲドが出てこないから、外伝とせざるえない。

あと、「トンボ」っていう名前は、それでいいのかと?
トンボだと、ドラゴンっていう言葉がそこに入っているのが、まったくわからなくなるのですが、名前に「ドラゴン」が入っているの超重要ですよねぇ。1

まあ、話自体は、過去のものもあったりして、まさに番外編な感じもしないでもない。でも、過去の話でもル・グウィン自信の意識は書いた時点の問題意識になっていて、多分、テーマ的には前に進んでいる。それは多分、女性とドラゴンということなんだろうなぁと思います。
最初の三部作を書いているときには「世界ってこうだよなぁ」と無意識に書いていた部分を、「なんでこうなったのか」と掘り下げていくような作業。それがあったから、前に進んだともいえるかな。

さてラスト1巻。
次は、「アースシーの風」です。

  1. と思って、調べたら、新しいのは「ドラゴンフライ」になっているようです。本自体の題名も。それはそれで、シリーズの他の作品と並びが悪い気も……。難しいな。 []

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帰還 ゲド戦記4

この人の文体って、こんなだったろうか?
まあ、そんなに覚えているわけではないけど、もっと、ピシッと言い切った文体だった気がします。でも、このお話では、グネグネとした文章が続いているような気がします。そして、それが決して不快ではないありません。

多分、世界というのは、こんな風にグネグネしていて見えにくいものなのだと思います。
それがわかるまでに、ものすごく時間がかかった。

もちろん、この物語も今までのゲド戦記と同じくテーマになるワンアイデアがあって、それは、けっこう読者に見えています。でも、今までの「ゲド戦記」と違うところがあるとすれば、多分、

「本当に大切なのは『そこ』ではないかもしれない」

ということなのかもしれません。

力を失って、達観することができないゲドの姿は、クリンの魔法使い達の姿と重なったりもしますが、多分、作者は「ドラゴンランス」よりも、もっと厳しいことを「ゲド戦記」の世界の登場人物達に課している。
そう感じます。

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こわれた腕環 ゲド戦記2

うーん、やっぱり、このゆっくりなスピードと、ワンアイデアで物語り全体をもたせようとする感じが……。
世界の名作、おもしろいか、コレ?

テナーのおかれた状況、世界を見せるという意味で、物語の前半のアルハの話は必要であるのはわかるのですが、でも、あそこまで執拗である必要があるのか?
執拗であってもいいのですが、単調であるというのは、どうか?

まぁ、ある意味、死後の世界なんだから単調なのかもしれませんが、それが、計算された単調さとは思えないんですよねぇ。
やっぱり、あそこで、あれだけ説明しなければならないのは、この物語が書かれた「時代」のせいなのかなぁ。
この物語が、「時代」の最先端すぎて、今読むと「原型」みたいに見えてしまうのかもしれません。

ゲドがでてきてからは、それなりにおもしろいのです。逆にいえば、イニシアティブを全部、ゲドがとっているように感じられるのです。愚かで無知な女の子を、賢い男が導く話みたいな。
でも、それは、本当にそうなのかなぁ。

なんというか例えば、ゲドは、闇とか影を敵と見ているけれど、実は、けっしてそうではないのではないかと、現代人のわたしは思っています。
もしかすると、アルハの信仰の方が、正しいのではないか。少なくとも、それは、戦う相手ではあっても、打ち倒せるものではないのではないか。
打ち倒すのではなくて、共存していくべき存在ではないのか?もっと、生きていくうえで大切なもの何ではないかと思います。
光が強いところには、濃い影がさす。そのことに、なにか意味があるのではないかと思ったりするのです。

うーん、どうなんだろう。これって、恋愛小説なんだろうか?ゲドとテナーは、くっつくのだろうか?
なんか、ゲドのテナーの美しさに惹かれた、テナーはゲドの賢さに惹かれたみたいな、惹かれたところの歪さが気になる。テナーの美しや、純粋さは、アルハとしての残酷さをも含んでいるものだと思うので。そうするとそれは、「影」を戦い駆逐するものと考えるゲドにとっては、本質的な美しさではなくて、「幼さ」としていつか否定される、愛玩的なものでしかなく感じてしまいます。

恋愛において、男が師で、女が弟子みたいな、それが一方的な関係はやだな。
こわれた腕環は1つに。それは、1つになったのであって、どちらかがどちらかに吸収されたのではないと思いたいですね。

アーシュラ・K・ル・グウィン,Ursula K. Le Guin,
清水 真砂子
岩波書店
発売日:2006-04-07

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影との戦い ゲド戦記1

わたしは、よく考えると「ナルニア」も「ゲド」も、映画になるまで読んでないんですね。

自分が、ファンタジー読みだと思っていたのですが、実は、古典的なものにあんまりふれていないことに最近気がついてきました。
いろいろ周辺の解説なんかを読んで、知識はあるんですけどね。

まあ、今から読めばいいか(爆)

ということで、ゲド戦記の1巻目です。

第一印象。

「あぁ、地味だ(爆)」

自分の中で、ものすごく期待が膨らみすぎていたのかもしれません。
昔から、「名作」と聞いていた、あのゲド戦記です。名高いル・グウィンです。

でも、ちょっと待て。わたしは、ル・グインを昔読んだことがある。
サンリオSF文庫の「辺境の惑星」です。確か、竹宮 恵子の表紙にひかれて購入した。
でも、その本は、今はない。
そして、ル・グウィンを読み続けてはいない。
なんでだ???

もしかすると、そのときの印象も、「地味」だったのでは……。

以下、ネタバレありです。

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