ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,市田泉,読書Diana Wynne Jones,ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,チャーメインと魔法の家,ハウルの動く城,徳間書店,

チャーメインと魔法の家 ハウルの動く城3

迷宮化している家のお留守番を頼まれる本好きのメガネ少女。
なかなか、そそる設定です。

でも、その少女が、憧れの気の弱いメガネ少女じゃないところが、ジョーンズの凄いところです。
基本、この人のお話の女の子って、みんな気強いです。

今回は、前作と比べるとハウルが(というか、ソフィが?)活躍しております。
まあ、主人公がまだまだ半人前ということで、ラブ度は少ないというか、ほとんどないです。

ジョーンズだから、一気に、戴冠式、結婚までいくのかと思ったけど、思ったこととは違う方にもっていくのがジョーンズでした。

宮崎「ハウル」の城は、ちょっとこのお話の家のイメージが入っているかも。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,浅羽莢子,読書Diana Wynne Jones,オルコット,ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,ファンタジー,創元推理文庫,子ども,東京創元社,若草物語,若草物語.わたしが幽霊だった時,

わたしが幽霊だった時

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ版、若草物語(笑)。
4姉妹ということで、多分、意識はしていると思う。

賢い長女。活発な次女。芸術家肌ですぐ悲劇的になる三女。少し思慮が足りなくでも勘が良くて行動的な四女。

でも、若草物語よりは、それぞれ強烈な個性を発揮してくれます。1
姦しいよりも、姉妹1人分、多いですから。もう、喧しい。
で、いつもいつも、ケンカしているんだけれど、仲が悪いかというと、そんなことはない。
そして、その姉妹のあり方というのは、けっこう、あるあると思いました。
そこが、最後の盛り上がりをつくります。
ラストの対決、かっこいい。

主人公は、幽霊です。
多分、自分は次女だと思うのだけど……と、自分が誰かさえあやふや。そのあやふやさ加減とか、ままならなさは、ジョーンズなりの理屈が1本通っていて、ファンタジーだけれどもリアルな感じがします。

ただ、そのもどかしさが、そのまま作品にも出ていて、物語の途中、交通事故が起きるまでが、若干、だるい感じがしました。

でも、その後の展開は、ジョーンズらしい、スピーディな展開でした。

まあ、最後の対決で、アレ差し出して良かったのかとは思うんですけどね。
あれのせいで、未来が変わったのでは?

それでも、そこでそれを捨てたからこそ、これから新しい道を歩み出せるという力強さがあって、読後感は、爽やかです。

この人、ひねくれ者だから、嫌な感じで書いてある人のことを本当に憎んでいるわけでなかったりして、そこがわからないとおもしろくないんです。
だから、ファンタジーだけど、ちょっと大人の読み物なのです。

  1. といいつつ、オルコットの「若草物語」は、わたしは子ども用しか読んだことがない。読まねば(笑) []

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,西村醇子,読書Diana Wynne Jones,きら,アブダラと空飛ぶ絨毯,ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,ハウルの動く城,子ども,徳間書店,映画,BFT

アブダラと空飛ぶ絨毯 ハウルの動く城2

なんか、アラブ風の世界ということで、あんまり知識のないところで、ジョーンズのヒネクレを読んでも、よく理解できないのではないかという先入観というか抵抗があって、今まで読んでなかった「アブダラと空飛ぶ絨毯」です。

でもこれ、「魔法使いハウルと火の悪魔」よりも、ずっと素直で読みやすい話ですねぇ。ちょっと、ビックリした。
まあ、「ハウルの動く城2」という看板は、どうかと思いますけどね。1 

はじめは、あのまどろっこしい話し方にちょっとイライラもしたんですが、慣れると楽しいです。

これが素直に感じられるのは、もしかすると、アラビアンナイトの世界にそんなにわたしが親しんでいないために、知識がなくて、せっかくジョーンズがヒネクレさせた部分が読み取れていないだけかもしれないとも思いますが。
もしかすると、ジョーンズにとっても、文化圏が違う国の物語ということで、ヒネクレさせなくても、飽きないものだったからかもしれません。

なんとなくですが、ラストのいろいろな者の正体があきらかになっていくところは、映画の「ハウルの動く城」の怒濤のラストを思い出してしまいました。
そのあたりは、もしかすると宮崎駿も、意識したのかな?(そんなこと意識する宮崎駿とはとても思えないけれど…)

前作の主人公ソフィーは、ずーーっと、おこっている印象があったのですが、アブダラは、すごい穏やかな人で、ずっと恋の話で、そのあたりの雰囲気も、映画の「ハウル」とよく似た印象だなぁと思いました。

ストーリーは、まったく違うのですがね。

では、いろいろな者の正体について、いかネタバレありで。

  1. 確かにハウルは出てくるし、動く城も重要な役割を果たすのですが… []

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,西村醇子,読書Diana Wynne Jones,ハウルの動く城,ファンタジー,子ども,徳間書店,戦争,映画,魔女,魔法使いハウルと火の悪魔,BFT

魔法使いハウルと火の悪魔 ハウルの動く城

けっこうおもしろいので、修羅場にもかかわらず読み切ってしまいました。

映画のストーリーの方がいい部分もありますし、やっぱり本は、語り尽くされているので欲求不満は残らないよなぁと思う部分もあります。

映画の方が優れているなぁと思うのは、やっぱり、あの出合いのシーンですねぇ。本の方は、けっこう抑えられていて、いつ、ソフィーが恋したのか、けっこうわかりづらい。

それから、荒れ地の魔女との決戦は、「お願い」で収束しちゃう映画の方に、クラクラきてしまったので。
もっとも、荒れ地の魔女のかき方じたいが、かなり全然違っているので、このあたりは、比べたらダメかもしれませんが。

うーん。ティーンエージャー向けの本か。たしかに、それよりも年齢が低い子どもが読んでもおもしろくないかも。
ソフィーは、なんか、ずーっと、怒りっばなしだしな。
なんで、怒っているのかということが、ちゃんと自分を振り返って理解できるような年齢でないと、絶対に、おもしろくないと思います。
読み解くには、コンプレックスが必要です。

そう言えば、「戦争」も、物語の中では、語られなかった要素ですね。というか、もっと、ファンタジーよりの世界で、でも、こっちの世界と地続きだというのが、けっこう以外で、でも、ものすごく納得できました。

カルシファーの性格というか、雰囲気は、映画も原作も、かわってないですねぇ。

映画では語られなかった、ソフィーの魔法も、けっこう重要なファクターになっていました。

映画見て、あの動く城のイメージを持って読んでます。実は、「動く城」は、本では「空中の城」とか呼ばれているので、きっと、浮いているんでしょうけどね。

けっこう、オススメです。